東日本大震災/福島原発事故復興支援事業
指導センターのご案内
クレーム情報
■クレーム対応の手引き
お客様から寄せられる様々なクレーム。
事例を参考にしながら、適切な対応に心掛けてください。
各業種毎のリンクはこちら
事例 1   肌に接するカミソリなど器具類の消毒義務

理容店で、前の人に使用したカミソリを消毒せずに軽く拭くだけで次の人に使用していました。 エイズ、B型肝炎、SARSなどの感染がとても心配です。
カミソリなど直接肌に触れる器具には消毒の義務付けはないのでしょうか。

理容店ではお客様の毛髪や皮膚に直接触れ、いろいろな器具と手指を使用して作業をするため、常に衛生第一の管理体制を徹底することが望まれます。

理容師法ではカミソリに限らず、「皮ふに接する器具」の消毒方法が定められています。また、平成12年9月1日より理容師法施行規則において理容店での消毒方法が感染症対策の充実強化の観点から、エイズ、B型肝炎などの血液媒介性のウイルスにも消毒効果のある消毒方法に改正されています。

さらに、全国理容生活衛生同業組合連合会では、毎年「全国理容組合衛生遵守強化運動」の一環として組合加盟店に対し「衛生・消毒講習会」を開催し、徹底した消毒管理を行っており、お客様に安心してご来店いただける体制を整えております。組合加盟店では「チョキちゃん」マークのシール等を掲示しています。

「カミソリを拭いただけで、次のお客様に使用する」ことは理容師法違反です。理容師法に違反しないよう衛生面の確認をしましょう。なお、理容店での消毒規定にはSARSは規定されていません。

参考

◆理容師法第9条  理容師が業務を行う際に守らなければならない措置

1.皮ふに接する布片及び器具は、これを清潔に保つこと
2.皮ふに接する布片は、客1人ごとにこれを取りかえ、皮ふに接する器具は、
  客1人ごとにこれを消毒すること
3.その他都道府県が条例で定める衛生上必要な措置
事例 2   白髪染剤でスーツにシミ

白髪染めをした際、染毛剤がスーツ上衣の襟の内側に付いたらしく、黄色いシミになってしまいました。
理容店に居るときは気が付きませんでしたが、家に戻り上着を脱いで発見しました。
シミは取れそうにもありませんので、スーツの弁償をして欲しいと考えています。要求できますか。

染毛をするときは、お客様の上着をお預かりし、その上で着衣には染毛液等が付着しないように、タオル、カバー等で保護をすることが必要です。上着をお預かりせずに染毛をしたため襟足から染毛液が流れ落ち、染毛液がスーツ襟の内側に付着した事がシミの原因と考えられます。上着の預かりはお客様に説明し理解を求め、タオルなどでの保護は十分に気をつけましょう。注意を怠った場合、理容店のミスとなり補償する義務が生じます。

参考
◆賠償責任補償共済制度
◆理容業に関する標準営業約款≪抜粋≫

営業者は、提供する役務の内容について、次の各号の定めるところに従い表示するも のとする。

(1)提供する役務の種別

<賠償額の算定>

ア)被害財物の時価額
修理、クリーニング等によっても被害品を復元できない場合や盗難、紛失事故の場合は被害品の購入価格から経年減価額を差し引いた時価額が賠償額となります。 
イ)被害財物の修理、クリーニング料
修理、クリーニング等によって被害品を復元できる場合は、その時価額の範囲内で修理、クリーニング等に要した費用が賠償額となります。
事例 3   客に断りなく眉毛をカット

シェービングに時間がかかりウトウトしていたら、断わりなく眉毛まで短くされ、すっかり人相が変わってしまいました。眉毛を頼んだ覚えはありません。客に断わりもなくやってしまうのは問題ではないでしょうか。料金を支払いたくありません。

理容師法第1条の2では「理容とは、頭髪の刈込、顔そり、等の方法により、容姿を整えることをいう」となっていますが、頭髪の刈込を行なう際、眉毛のカットも含めて行なっているところも多いようです。

しかし、お客様に断わりもなく行なってしまうことは、どんな場合であっても問題があります。お客様に対しては、まずこの点をお詫びしなければなりません。

カットやシェービングの最中、お客様がウトウトすることはよくあることです。頭髪の刈込みについてお客様の要望を聞く際に、眉毛のカットについても、希望をきちんと確認しておきましょう。

お客様の要望をできるだけ正確に聞き取り、それに応えて、満足して頂けるサービスを提供するのが理容師の務めです。

断わりもなく行なってしまったことについては、お支払いを拒否されても仕方がありません

事例 4   不要なサービスまで含まれた総合調髪に不満

利用している理容店ではシャンプー・シェービングが含まれたセット料金になっています。シェービングは必要ないのに、料金に含まれているので仕方なくやってもらっていますが、以前他の理容店を利用した時は、シャンプーのみ、カットのみというように自由に選択できたと思います。この理容店でも単価別にできないのでしょうか。

「理容業に関する標準営業約款施行細則」によると、営業約款第3条1項1号の「総合調髪」は、「カット(刈込み)」、「シャンプー(洗髪)」、「シェービング(顔剃り)」、「セット(仕上げ)」の工程をいいますから、「総合調髪」であれば全てを含んだ料金ということになります。

例えばカットをする場合、シャンプーは要らないがシェービングはして欲しいとか、その逆にシャンプーはして欲しいがシェービングは要らないとか、カットだけでシャンプーもシェービングも要らないとか、いろいろな場合があります。

こうしたご要望に応え、最近は単価別のサービス提供を行ない、お客様に組み合わせを自由に選んで頂いているお店も増えてきています。

お客様の声に耳を傾け、お客様のニーズに応えていく事が、より良いサービスの提供につながります。従来の形にこだわらず、常に新しいサービスの提供に努力しましょう。

参考

◆「理容業に関する標準営業約款」第3条1項1号

営業者は、提供する役務の内容について、次の各号の定めるところに従い表示するも のとする。

(1)提供する役務の種別

提供する役務の種別を、次の区分により表示するものとする。ただし、これら の役務の種別を組み合わせて表示しても差し支えないものとする。

ア、 総合調髪
イ、 カット(刈込み)
ウ、 シャンプー(洗髪)
エ、 シェービング(顔そり)
オ、 セット(仕上げ)
カ、 アイパー
キ、 男子仕上げコールド・パーマネントウェーブ
ク、 アイロン
ケ、 子供調髪
コ、 毛髪・頭皮保護コース(ヘア・スキャルプ・トリートメント)
事例 5   遠方を理由に断られた出張理容サービス

病気で寝たきりの父ですが、おしゃれで自宅に調髪にきてくれるお店を探していました。 たまたまインターネットのホームページで見つけた店に出張サービスをお願いしましたが、遠方を理由に断られてしまいました。気軽に自宅へ調髪してくれるようになって欲しい。

高齢社会となり、ご自宅や福祉施設への出張理容サービスの要望が多くなっています。積極的に取り組む店もありますが、ホームページなどに広告を出すときは出張サービスの内容や料金、実施日、提供範囲など誤解を招かない説明が必要です。

全国理容生活衛生同業組合連合会では高齢者や障害者に安全で快適な理容サービスを提供するためには、理容の技術だけでなく、お客様の身体状況や障害の特性に応じた対応をするための技術や知識が必要と考え、社団法人シルバーサービス振興会とともに「ケア理容師養成研修」を全国で実施しています。

また、市区町村によっては高齢福祉サービスの一環として、訪問理容などの福祉理容制度を実施していますので、お客様がお住まいの市区町村の担当課など紹介できるように調べておくことも必要でしょう。

事例 1   希望どおり仕上がらなかったヘアスタイル

雑誌に出ていたヘアスタイルを希望したところ、まったくイメージが違ったばかりか髪の毛がところどころちりちりになってしまいました。トリートメントはしてくれましたが、雑誌のモデルのようにはいかないと施術のミスを認めようとせず、不誠実に感じました。ミスを認めて返金してほしいです。

癖毛は1本の毛でも細いところと太いところがあるので、パーマ液が均一に浸透しません。そのため細いところにダメージを強く受け、傷んで枝毛や切れ毛が生じる事もあります。お客様の毛髪の質、毛髪の状態、体調などを見てパーマ液の調合やパーマをかける時間を判断し作業を行いましょう。

お客様の希望するスタイルに合わないと考えられた場合は、毛髪の質や状態によっては難しい等、理由を詳しく説明する必要があります。今回は美容室の判断ミスで毛髪の傷みが生じ、お客様にショックを与えてしまったことと思われます。申し出があったときは作業手順などをご説明し、ミスについて率直にお詫びしましょう。

お客様にはパーマ料金を返金したうえ、1ヵ月程様子を見ていただき、場合によってはアフターケアもしましょう。また、今後はこのような事の無いように技術を磨き、注意して施術にあたりましょう。

事例 2   イメージが違った成人式の着付けとヘアメーク

娘の成人式の着付けとヘアメークを美容室で予約しました。1週間前担当者に気に入った写真を渡して希望のイメージを伝え、髪形や髪飾りを決めました。ところが当日は担当の美容師が違い、希望していたものとは全く異なる仕上がりになってしましました。せっかくの成人式の記念が台無しとなり納得できません。

成人式の着物の着付けと写真撮影がセットになっているものは、限られた時間内で希望にそったスタイルに仕上げるために、事前に十分にお客様の要望をお伺いすることが必要です。

また、事前の打合せで希望をお伺いしたスタッフと、当日の担当者が異なる場合は、特に詳細な申し送りを行うことが重要です。お客様のご希望どおりに出来なければ、債務不履行責任を問われることも考えられます(民法415条)。

お客様には大事な成人式の記念写真がご不満な仕上がりになってしまい、大変ご迷惑をおかけしたことをお詫びしましょう。お客様にはやり直しをご提案し、やり直しをご希望されない場合は、セット代金の返金などで対応しましょう。

このようなイメージ違いの苦情は時々ありますが、担当者間の連絡および担当者の技術研修に努めることが必要でしょう。

事例 3   店内に価格表示が無い美容室

以前に一度利用した事がある美容室に、パーマの予約を入れて出向きました。美容室にあったヘア雑誌を見て、こんなイメージにしたいと言ったところ、ストレートパーマとヘアマニキュアを勧められたので、料金は分かりませんでしたが頼みました。レジで26,000円の請求を受けて驚きました。こんなに高いと知っていれば頼みませんでした。店内に価格を表示しないのは問題ではないでしょうか。

店では、立地条件、施設、技術力、使用する薬剤や機材、その他のサービスを考慮して料金を設定しています。店のドア外側の看板には料金表示もしており、シャンプー2,000円、ストレートパーマ15,000円、ヘアマニキュア9,000円の合計26,000円となりました。通常のパーマは10,000円でした。

ストレートパーマは通常のパーマよりも技術を要するものです。また、このたび提供したヘアマニキュアは、パーマをかけた直後でも毛髪にダメージを与えない優れた薬剤を使ったサービスでした。

店内に料金表示をしなかったり、お客様に施術前に料金の説明をしない場合は店の落ち度といえます。

受付カウンターなどお客様が見やすい場所に料金掲示板を掲げましょう。

また、こうしたトラブルの発生を避けるため、お客様には口頭でも料金について説明しましょう。

事例 4   次々に商品を勧められた美容室

シャンプーをしてもらった際に、髪が傷んでおりトリートメントをしたほうがよいと言われお願いしました。更に市販品では効果がないと、店内で販売している高額な商品を勧められ、断りきれずに買わされてしまいました。

たとえお客様の髪が傷んでいて、プロの目から見て適切な処置を施す必要があったとしても、あくまでも髪の手入れのアドバイスにとどめるべきです。いくらグレードの高い商品であっても、勧め方によっては、お客様に購入を強要するような印象を与えてしまい却って美容室の信頼を損ねることになります。

商品の案内を行う場合には、お客様の髪質や髪の状況について十分説明をした上で、使用方法や効果を理解して納得していただくようにしましょう。

事例 1   クリーニングでプリーツが消えたスカート

プリーツスカートをクリーニングに出したところ、スカートのプリーツが消えてしまいました。お店では表示通りドライクリーニングをしたと言いますが、納得できません。

プリーツ加工の方法には合成繊維などに用いる熱可塑性を利用したもの、綿やレーヨンなどに用いる樹脂加工、ウールに用いるシロセット加工などがあります。綿、レーヨンなどはプリーツが消失しやすい素材です。加工方法の特性を考慮しないと事故につながります。クリーニング店では素材を確認し、適正な処理を行いましょう。

加工に問題があれば、クリーニング処理によりプリーツは消えます。メーカーは商品テストを十分に行い、事故防止に努め、取り扱い表示をわかりやすくしてほしいものです。

賠償については、事故の原因がクリーニングによるものなのか、衣料品メーカーによるものなのか、お客様の着用状況等によるものなのかを明らかにし、補償割合を算定しましょう。

クリーニング店とメーカーに事故の原因がある場合は、クリーニング店の過失の割合は2分の1と考えられます。クリーニング店、メーカー、お客様の三者に過失の原因があればクリーニング店の過失割合は、3分の1と考えられます。ただしお店は事故の原因の一部が他者の過失に基づくことを証明しなければなりません。また、賠償金はお店がいったんお客様に支払いその後メーカーに請求することとなります。

お客様とのトラブルを減らすには受付け時の心がけが大切です。商品の素材や加工方法を的確に判断し、事故の可能性が考えられればその旨をお客様にきちんと説明し、理解していただきましょう。時にはリスクの高い商品はお断りすることも必要です。

事例 2   ズボンがテカッた紳士スーツ

紳士スーツ上下をクリーニングに出したところ、ズボンのセンターラインが2本になっていました。やり直しをしてもらい、折り目は直りましたが、生地が伸び、テカリも生じました。

ズボンのみ補償すると言われましたが、スーツとして着用できず不満です。

ウールなど素材によってはテカリやすいものがあります。着用時の摩擦状況により、クリーニング処理を行うことによって顕著にテカリが現れることがあります。今回は、やり直しの処理で生地が伸びたり、テカリが生じたようです。

スーツなどのように2点以上を一対としなければその着用が著しく困難な品物については、その一部にのみ損害が生じた場合でも、一対のもの全体を考慮してクリーニング事故賠償基準により賠償額を算定します。ただしお客様が一対のもののうち1点だけをクリーニングに出し、お店がこれを知らされていなかった場合は、1点のみの賠償でよいとされています。

事例 3   硬くなった合成皮革のジャケット

人から貰った合成皮革のジャケットをクリーニングに出したところ、全体が昆布のように硬くなって着用できなくなりました。クリーニング店では、取扱い絵表示の通りに洗っており、責任はとれないと言っています。初めてのクリーニングなのでとても納得できません。

苦情品はポリ塩化ビニルの合成皮革のジャケットでした。ポリ塩化ビニル素材の合成皮革製品を石油系溶剤で処理すると、可塑剤が溶出するために柔軟性が失われて硬化してしまう事故が頻発しています。ポリウレタンの合成皮革は硬化しないので衣料品に使われることが多いのですが、外観からだけではポリ塩化ビニルとの区別は難しいものです。なかには、素材名をポリ塩化ビニルと表示しておきながら、取扱い絵表示を石油系ドライ可としている製品も見受けられます。

今回の事故品にはメーカーの表示がありませんでした。また、日本語の表示がないため、外国で購入した商品と思われます。組成表示はポリウレタンとなっていて、表示どおり石油系ドライクリーニングをしたところ硬化してしまったケースです。表示の誤りに原因があります。

合成皮革製品は、経時的な劣化や誤表示による事故が起こりやすいため、受付け時には表示をよく確認し、お客様から聞き取りを十分に行うことが大切です。想定される事故について説明して、時には引き受けを断ることも必要でしょう。

また、合成皮革を使用した商品でこのような事故の起きる可能性があることを知らせるために、店内にチラシやポスターを貼ることもよいでしょう。

お客様には、絵表示に誤りがあったこと、また海外の製品であるため責任の追及が難しいことをお伝えし、納得していただきました。

海外衣料品は増加傾向にあり、海外で直接購入したり、インターネットで購入する機会も多く、品物の中には外国表示しかついていない衣料品も増えています。

最近はISO(国際標準化機構)表示が多く用いられているので、その理解が必要となります。JIS表示とISO表示の比較を参考にして適切なクリーニング処理を行うことが望まれます。

事例 4   灰色にくすんだ白のスーツ

白の婦人用スーツを初めてクリーニングに出したところ、全体的に灰色にくすんで戻ってきました。お店は当初くすみを認めませんでしたが、共布を見せて交渉した結果、賠償をしてもらうことになりました。また今後もスーツを着用したいと伝えましたが、お渡しできませんと断られました。返してもらうことはできないでしょうか。

苦情品の素材はウールとアクリルの混紡です。くすみの原因はクリーニング時の再汚染によるものでした。再汚染はクリーニング時に出てきた汚れが、再び液中の衣類に付着するもので全体的に灰色にくすんだ色になったりします。

再汚染はアクリル、ポリエステル製品に多く見られ、時には羊毛などにも起こります。

再汚染の原因として

1:不十分な荷分け

2:洗浄負荷量過多

3:ソープ投入量不足

4:洗浄時間不足

5:溶剤流量不足(配管の詰まり、バルブの開閉不良、ポンプの性能低下)

6:ウォッシュタンクの溶剤量不足

7:蒸留量不足

8:フィルター不良

などによることが考えられます。

「クリーニング事故賠償基準」では苦情品の所有権は苦情品の賠償金を支払った者、即ちクリーニング店に移るとされています。しかし、お客様から苦情品を引き取りたいとの申し出があった時は、お客様の同意を得て賠償金の一部を減額して引き取ってもらうことはできます。

事例 5   部分的に変色した婦人コート

4〜5年前に購入したポリエステル100%の婦人ハーフコートをクリーニングに出したところ、後ろ身頃の一部分が白く変色していました。お店からは自宅で保管中の紫外線が原因だと言われましたが、納得がいきません。

クリーニング店が苦情品をお預かりして調べた結果、変色している布地の縫い代の内側部分も同様に変色していることから、生地の段階で既に紫外線等の変色原因が作用していたものと推測されました。また、生地の状態や変色は縫い目を境にした各パーツの生地によって差が見られることから、異なるロットの生地が使用されている可能性がありました。

「クリーニング事故賠償基準」では、洗濯物について事故が発生した場合、クリーニング店に責任がないことの証明を行わなければ、お店はお客様に対して補償しなければならないとしています。また、クリーニング業法の目的にお客様の利益の擁護を図ることが加えられました。

これらのことからも、クリーニング店以外に事故原因があると思われる場合でも、単にお店に事故の責任がないことをお伝えするのではなく、事故の原因を究明し、お客様に詳しく説明して理解していただく必要があります。アパレルメーカーに原因があると思えるものは、メーカーに連絡して対応を求めます。

事故原因が科学的に分からない場合には、検査機関や全国クリーニング生活衛生同業組合連合会のクリーニング綜合研究所などで鑑定してもらうことも必要でしょう。

事例 6   色、艶が変わったカシミヤのコート

濃いピンク色のカシミヤコートとアンゴラのセーターを初めてクリーニングに出しました。クリーニングから戻ったコートは全体的に色が白っぽくなり、購入時よりも艶がなくなっていました。またアンゴラセーターも風合いが変わり、縮みが生じたように思います。クリーニング店は表示通りのドライクリーニングをしている、特に変化はないと主張し賠償に応じてくれません。受付時に担当者には取り扱いを注意するようにお願いし、大丈夫と言っていたのに納得いきません。

カシミヤは生地に柔らかさと膨らみを持たせるため、撚りを甘くしています。機械的な摩擦や手荒な取り扱いをすると毛並みが乱れ、毛羽の脱落や風合いの低下を招きます。取り扱いには十分な注意が必要です。アンゴラは獣毛繊維の中でも特に収縮、再汚染、風合い変化、毛抜けなどがドライクリーニングで起こりやすい素材です。トラブルになりやすいのでカシミヤ製品同様に取り扱いには注意を要します。

洗濯物に最適なクリーニング処理をするために色が濃い商品と薄い商品の区分けや、丈夫なものとデリケートなもの等の区分けをします。クリーニングによる洗浄が品質を大きく左右するからです。

受付け時には素材別のクリーニング方法の説明をし、クリーニングをすることによって購入時の新品同様な状態に戻るのではないこと、風合いの変化も多少起こりうるなどのリスクの説明が重要です。

事例 7   伸びてしまったニットのスーツ

有名ブランドの婦人用ニットスーツを最近できたクリーニング店に初めて出しました。受付時には何ともなかったのですが、引き取りに行って確認した時に上着の両肩が伸びて型崩れしていました。その場で苦情を伝えて、元に戻すか弁償して欲しいと申し出ましたが、責任者がいないので後で連絡するとのことでした。その後2週間たっても電話がないため、再度問い合わせましたが一向に連絡がなく不満です。

お客様に商品を引き渡す際に、伸びていることをお互いに確認しているので、きちんと謝罪を行うべきだったと考えられます。ニット製品をハンガーにつるして保管していたため、明らかにクリーニング店の責任となります。迅速に対応しなければなりません。お客様にはクリーニング事故賠償基準に従って、補償することとなります。

このように、仕事の内容だけでなく、お客様に約束した時間に連絡がとれずに問題を長引かせてこじれてしまうことは避けたいものです。クリーニング業法の改正によりお客様からの苦情をきちんと受付け責任を持って処理することが事業者に義務付けられました。

クリーニング店の受付けはパートタイマーの従業員で、責任者の顔の見えない店が多くなっています。工場が店舗と離れていて、技術者の話も聞けない現状で、苦情の扱いが曖昧になっているのも事実です。お客様の信頼を得るためにも苦情処理体制を明確にする必要があります。