第1章 簿記の基本原理 5
帳簿記○○入のなかの二字をとって,簿記と呼んでいるが,こうした帳簿様式や業種,規模のちがいによって,次の内容に区分することができる。
1.一般的区分
正規な簿記:完全なる簿記の原理にもとづいて記帳整理する意味で複式簿記という。
簡易な簿記:簡易化されたやり方の簿記をいい,固有名詞ではない。各種の様式がある。
2.記帳の原理による区分
複式簿記:取引の両面を完全に記録した簿記で本章で述べてきたもの。
単式簿記:取引の一面だけしか記録されない簡易な簿記の型式
3.企業の種類による区分
商業簿記,工業簿記,銀行簿記,官用簿記,組合簿記,家計簿記などに分けられる。
単に簿記と呼ぶときは,複式の商業簿記をさし,他の簿記は応用簿記といえる。
 一般的には資産(借方)は左,負債,資本(貸方)は右,これが簿記における唯一のルールであるといえよう。
 左右どちらでもよいが,一応上記のルールを基準としており,本講の記録例では借方,貸方を出金,入金と呼称している。
 また,記帳については真実性,明瞭性が最も重要な簿記の基本的な目標である。
 なお,中小会社経営を対象としては,中小企業の一般的な通有性を考え,公正妥当と認められる企業会計原則に準じ,かつ法人税施行細則の記載要件に当って正規な帳簿が理想と思えるので中小会社簿記要項(昭和28年中小企業庁)の帳簿組織,様式等を参照されたい。
 なお,本テキスト『生活衛生営業の税務』第一部第二章3青色申告の要件の(2)青色申告の帳簿組織(143頁)の(ア)正規の簿記,(イ)簡易簿記,(ウ)現金主義簿記の項及び(イ)(ウ)の帳簿様式は237項を併せ参照されたい。
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