生活衛生営業の経営診断 1
(1)診断の目的
 経営の実態を数字でつかみ,この数字によって,経営を計画し,運営していくことを計数管理と総称している。店の経営は生きものといわれるが,健全な体質もあれば,また病弱な体質もある。
 このような体質を定期的に,または随時に健康診断をして,その体質に適応する対策方法を講じ,常に健全経営を続けていくことにしなくてはならない。すなわち店の営業の収益状況をみたり,成長率を検討したり,また財産内容の均衡を分析してみることが最も重要である。この健康診断を経営診断という。経営上のデータはいろいろとあるが,まず決算書が中心となる。
(2)診断の基本となる資料
 決算書といえば,損益計算書と貸借対照表の二つを指すが,法人企業はこの二表の他に剰余金計算書,同じく処分計算書,その他附属明細表などを加えて財務諸表という。この損益計算書と貸借対照表の二表を主体として,その内容を分析して,これからの経営のあり方の指針とするもので,損益計算書は,営業年度すなわち1年間の営業の取引状況を一表にまとめて利益金を算出し,この利益金はどうしてうまれたか,売上高に対して仕入はどうか,投資された元入金や借入金に対して,年間の売上高は普通 か,また利益率はどうか,などを具体的に検討してみることが必要といえよう。
 次の貸借対照表は,年度末決算期時点の財産の内容書なので,前の損益計算書と違い,12月末日現在の資産と負債,元入金の両面 について,その具体的な内容のバランス,また年度始と年度末の数字がどのように増減変化されているか,またすぐ返済しなければならない借入金や買掛金などの支払準備ができているかなどについて検討することが重要である。
 またこの二つの決算書すなわち財務諸表以外のデータとして従業員に関するもの,販売上のデータ,企業の歴史,経営者,役員,その他の環境のデータなどを集め分析することが重要といえよう。

 

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