生活衛生営業の経営診断 2

経営診断はその企業の状態を広い総合的な視野から分析を行うことになるが,その判定のポイントとしては次のような点があげられる。

(1)収 益 性
 利益がなければ,店は発展しないことは当然である。営業は収益性に総ての期待をかけている。収益性という経営の中心がくずれると,資金操作にゆきづまり,営業の健全性もおかされて身動きができなくなり,すなわち開店目的である利益金をあげ社会的な責任を遂行することもできないことになる。
 そこで収益性が良いか悪いかが,その成果を測定する尺度となる最も大切なものである。
 営業の最高の目的は企業経営に投下された資金量に対して,より多くの利益をあげることが必要であり,多くの資金を投下した店はそれにふさわしい利益をあげ,少額な資金を投下した店はそれ相当の利益をあげることは普通 といわれるが,できるだけ少額の資本でより多額の利益を期待して経営は進まなくてはならない。そこでこの収支の状況やその比率を分析検討することを収益性の診断といい,経営判定の第一のポイントということができる。
(2)成 長 性
 決算書類の計数を検討した結果,収益性,安全性,または生産性のいずれをみても問題がない場合には,その企業は,現在の経営のやり方をそのまま続けていけば良いことになるのであろうか。いかに現在の収益性がすぐれていて安定性がそなわっていても,先き行き発展力のないような店は困りものである。
 また,ジリ貧傾向にあるようであれば,今後に大きな不安が持たれることになり,すぐれた店であるためには収益性や安全性がよいばかりでなく,成長力に富んだ店としていかなくてはならない。
 成長性分析のためには,過去における成長の実績を有力な判定資料とするのが一般 的であるが,その判定資料としては,いろいろなものが考えられるが,最も重要なことは,売上高の伸び率,利益の伸び率及び自己資本の伸び率である。しかもこの売上高の伸び率,利益の伸び率,自己資本の伸び率とが,バランスしているかどうかを見ることを忘れてはならない。
(3)安 定 性
 経営の安定は売上がふえ,商品がふえ,得意先,従業員など総てが順調に拡大成長して,いわゆる現象的に繁栄しているように見えるだけでは判断はできない。
 また利益が順調にあがっているということだけでもわからない。安定性は堅実な安定した資本が調達され,それが合理的に運用されているかどうかということ,また健全な財務構成がなされ財政状態が安定しているという点において判定されることになる。したがって資産,負債,資本の構成や相互関係の分析が主体となることになる。
 すなわち基本として,
@ 業種にもよるが,流動資産が固定資産より多い方がよい。
A 元入金は負債勘定より多い方が理想である。
B 固定負債と元入金の合計は流動負債より多くなければならない。
C 流動資産は流動負債より多い方がよい。すなわち支払能力があるということである。
D 固定負債と元入金の合計額は固定資産より多いに越したことはない。

 

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