生活衛生営業の経営診断 8
(1)資本利益率の展開
 資本利益率が企業の総合的な成績を示す比率であるといっても,それだけで収益性を判定するわけにはいかないが,利益は企業活動の成果 であるから,どういう活動が利益を生みだすのに大きく貢献をしたか,それを省けばさらに利益を増すことができただろうか,ムダな活動はなかったか,などを検討してみなくてはならない。そこで資本利益率を更にこまかく分析するために,その算出公式を次のように分解してみると(前項成長性の分析を併せて参照されたい。)
(総資本対利益率) = (売上高対利益率) × (総資本回転率)
 このように分解されるが,資本利益率は,資本回転率の向上と売上高利益率の向上の相乗効果 によって高められることがわかる。
すなわち資本利益率が低い場合には,その原因は資本回転率か売上利益率に求められることになる。
したがって収益性を判定するには,資本利益率とともに,資本回転率・売上高利益率を計算する。
また利益率の良否だけを検討するのではなく,その原因を追求することが重要である。
(2)投資経済計算
投資した金額が利益計画どおりの効果をあげるとして,どのくらいのスピードで回収されるかをみることは,重要なことであろう。
また開店後の営業効率の目標として,客単価,客数が計画どおりに確保されているかどうかをチェックすることも忘れてはならない。
投資採算の計算は,投資額に対する収益性の度合を計算することであるが,ごく簡単に使われている計算の方法を列記してみると,
@ 投資利益率法
この方法は計算が非常に簡単で固定投資の効果はよくわかるが,投資の時期と利益実現の,時間のずれが具体的にわからない短所がある。
A 資本回収期間法
 この税引後利益金と減価償却費を加算した額をキャッシュフローという。この方法は計算も簡単で投下資本の回収年限がわかるので一般 的に活用されている。
 ただ回収期間終了後に,発生する利益を無視していたり,投資額の時間的価値を考慮に入れていない欠点もあるが,非常に簡単な計算方法である。
× 閉じる