生活衛生営業の経営診断 10
総合経営分析のポイント
 営業成果の経営分析では通常次の四つのポイントを取り上げている。すなわち収益性,安定性,成長性ならびに生産性である。そこで,この四つを総合的な立場として分析評価を試みてみよう。
@ まず収益性は,
 収益性の分析をする項目はいろいろと数多くあるがここでは次の二つを取り上げてみた。一つは売上高対経常利益率(純利益率でもよい)と,二つは総資本対経常利益率である。
 利益金のあがりぐあいを売上げと投下資本からみたものである。
A 次に安定性は,
 安定性は資金の健全性とも呼び,ここでは総資本対自己資本比率と当座比率の二つのポイントを取り上げた。
 総資本対自己資本比率(自己資本比率とも呼ぶ)は営業に投下した総資本額(負債と自己資本の合計額)に対して自己資本がどれだけあるかを計算してみるものである。
 当座比率とは早急に支払いを要する流動負債(買掛金や短期借入金など)に対して,現在それを支払う準備があるかどうかをみるもので現金比率とも呼んでいる。
B 成長性は,
 成長性とは,毎年の増加率すなわち成長の度合をみるもので,ここでは売上高増加率と経常利益金の増加率の二つを取り上げた。
成長度は長い目でみなくてはいけないが,次の事例は一応前年度との比較とした。
C 生産性は,
 生産性とは,店主をふくめて従事者一人当りの生産効率を対象としたものであるが,ここでは一人当たりの売上高とその利益金の二つのポイントをみることとした。
 以上の8項目を一表にまとめ,店の総合分析表としてみた。この表には,さらに参考として,中小企業庁のまとめに同業種の経営指標,原価指標の関係数値をもって比較検討しようとするものである。
 それによって,自店がどの程度の位置で営業をしているかがはっきりとわかることになろう。ここでは,すし業種とした。
Uすし店の事例
 以上の8項目を別表『U店の総合経営分析表』にそれぞれ計上し比率を算出してみた。実数はU店の損益計算書ならびに貸借対照表から
次のとおり必要項目を列記してみると,
売 上 高(今期) 2,000万円
経常利益金(今期) 150万円
総 資 本 805万円
自己資本 353万円
当座資産 87万円
流動負債 152万円
売 上 高(前期) 1,882万円
経常利益金(前期) 143万円
 なお,従業者数は今期,前期とも同じく4名となっている。

U店の総合経営分析表(すし店)

(単位:万円)

経営診断チャート

 以上の総合経営分析表において経営判断は十分に出来るが,次表丸図の『経営診断チャート』に要約し,各比率項目の点を太線をもってむすび一目で明解に出来るようにしたものである。

経営診断チャート

 
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