生活衛生営業の経営診断 14

(1)D飲食店の経営事情

D飲食店の総合的な平成6年度の収支状況の成果は,次図表の『D店の平成6年度損益計算書並びに本部経費配分表』の左側の収支内容のとおりである。
 企業としての直接営業は,本店営業部ならびに支店として渋谷と池袋の2店を開業しているので,本店営業部ならびに各支店の営業成果 状況も,同表のとおり,それぞれの成果をえている。D店としての総売上高は,9,442万円に雑収入として14万円を加算計上しているから,総収入高は9,456万円となる。
 これに対応する費用総額が8,964万円であり,総収入に対して5.2%の利益率である。
 D店は個人企業の形態で,店員数は店主を含めて22人の要員となっている。ここでの診断は,収入源がない本部(本社)事務系統の経営費用のことである。すなわち,図表のとおり,雑収入として銀行預金の受入利息など14万円である。
 これに対して支払経費は1,551万円になっているので,その不足額は1,537万円となる。当然ながら,この額を本店営業部ならびに2つの支店の収益によって充当配分することになる。
(2)本部経費配分計算の事例
 
 本部経費配分計算の方法は,いくつかあるがここでは,まず人員数による割合である。
 第二としては,売上高の実績に応じての割合である。最後の三つ目としては,当期の利益金による割合である。さらに,投資した資金量 による割合も重要であるが,ここでは省略した。すなわち,多くの利益をえた支店に多く出してもらうというわけである。
 以上の三つの立場から,それぞれの比率を算出し,総合平均比率を,その配分比率として求めた。本部営業部が39%,渋谷支店が31%,池袋支店が29%となっている。
 そこで最終的に本部赤字1,537万円に対する割合を前記の比率を乗じて算出する。
 これが本部経費の配分額である。すなわち本部への利益貢献度でもある。
 以上の本部配分額を差し引いたそれぞれの残額が,正しい意味の各本支店の利益金成果 となる。一人当たりで算出した利益金は池袋支店が一位である。

D店の平成6年度損益計算書ならびに本部経費配分表

(単位:万円)

 
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