社会保険の基礎知識 1

 わが国では現在、全ての国民が何らかの公的医療保険、年金保険に加入することが義務づけられています。
 この公的医療保険、年金保険、労働保険を合わせて「社会保険」といいます。
 病気やけが、出産、障害、死亡、老齢、失業などで生活に困ることのないよう、資金を出し合い、生活を守ろうと する仕組みを「保険」といいます。
 このように皆で出し合う資金が「保険料」で、保険料を主体としてできた共同財産を、管理・運営する組織が 「保険者」です。そして、この組織に加入して保険料を納め、いざという時に保険給付を受けるのが「被保険者」です。
 この保険者と被保険者の間に「保険関係(適用)」が生じ、保険目的としている保険事故が生じた場合に、 「保険給付」が行われます。
 このように保険の仕組みを取り入れて、国が保険者として行っているのが社会保険制度なのです。

 保険会社などが行っている私的保険と違い、公的保険である社会保険は、一定の条件に該当する場合は必ず 入らなくてはならない「強制加入」が原則です。
 社会保険には、@健康保険、A国民健康保険、B厚生年金保険、C国民年金、D労災保険(労働者災害補償保険)、 E雇用保険、F船員保険、G国家公務員、地方公務員、私立学校教職員の各共済組合、H介護保険、と多くの種類が あります。
 また、平成20年4月からは、老人保健制度に替わり、75歳以上を対象とした長寿医療制度がスタートしました。

 社会保険は、加入者により、被用者保険(職域保険)と、住民保険(地域保険)に分かれます。
 会社に勤める皆さんが加入するのは被用者保険で、労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険、介護保険の 5種類があります。
 被用者保険の場合は、事業主も保険料を負担し、また国もその一部を負担することが多くあります。これも 社会保険の大きな特徴です。

 次章からは、それぞれの保険について詳しく述べていきます。