改定・レジオネラ属菌防止に関する防除指針 (5)

 レジオネラ属菌種のなかには、最初の分離菌株は自然界由来であっても、後になって人に肺炎を起こさせた菌種がある(表1)。従ってレジオネラ属菌の培養試験などを行う者は病原細菌の取り扱いについて、専門の施設・機関で最低3ヶ月以上の訓練を受ける必要がある。また少なくともレベル2の病原細菌を扱うに適した設備、特に物理的封じ込め区分(physical containment,P)2の安全キャビネットを備えた実験室が必要である。正規の細菌学教育を受けたことがなく、病原細菌を取り扱う理念の基本も手技も心得ず、見よう見真似の簡便な方法で水中大腸菌の簡易検査をしたことがあるというだけの人を、この検査に従事させるべきではない。
(1)検査方法
[1]培地の作成
 レジオネラ属菌は通常の細菌学用培地には発育しないので、一般 水質検査のための細菌検査をどれほど入念に実施しても決して発見されない。純培養菌はグラム陰性細菌であるが、検査材料をスライドグラスに直接塗抹して染色しても見いだせない。レジオネラ属菌を発育させるための培地は、種々の工夫と多くの変遷を経て今日常用されている組成に辿りついた。
 レジオネラ属菌を検査材料から初めて分離培養するとき、およびそれ以後の培養にBCYEa寒天培地を用いる。検査材料の中に発育の速い他の微生物が混在しているときには、種々の抗菌剤や抗真菌剤を加えてそれらの微生物の発育を抑制し、レジオネラ属菌を発育し易くした選択培地を使用する。
a.BCYEα寒天(buffered charcoal-yeast extract agar supplemented with α-ketoglurarate)
基礎培地: 酵母エキス 10.0g
活性炭末 1.5g
ACESバッファー 10.0g
寒天 15.0g
蒸留水 1000ml
pH6.9±0.05
添加物: L-システイン-1 塩酸塩 0.4g
可溶性ピロリン酸鉄 0.25g
α-ケトグルタル酸-1 カリウム塩 1.0g

作り方:
a) 1液:ACESバッファー10gを500mlの蒸留水に入れ40〜50℃の温浴で溶かす
(ACES buffer:N-2-acetamide-2-aminoethane-sulfonic acid.PK6.9,20℃)。
b) 2液:KOHペレット2.8gを480mlの滅菌蒸留水に溶かす。
c) 1液と2液を混和し0.1M KOHまたは0.1M H2SO4でpHを6.9±0.1に調整する。これに活性炭末1.5g、酵母エキス10g、α-ケトグルタル酸ナトリウム1g、寒天15gを加える。活性炭末はあらかじめ乳鉢で充分摩砕しておく。荒いままの炭末粒を用いると、培地の作成過程で炭末が沈殿し易く、均質な培地にならない。Oxoid社が市販している、BCYE基礎培地(関東科学扱い)は炭末が細かいのでこの点では好都合であるが、逆に培地が均等に真っ黒なので、培地の裏から集落数を数えるのに不便である。
b)−c)の操作手順を守ることは、酵母エキスの変性を避けるために重要である。また過度に加熱すると酵母エキスの栄養価が下がるので注意しなければならない。ケト酸は分裂開始前の静止期を短縮して発育を促進し、superoxide dismutase活性を増強する効果がある。
d) 121℃15分間、加圧滅菌に60℃にさます。
e) ろ過滅菌した4%Lーシステイン-1塩酸塩水溶液10mlと2.5%可溶性ピロリン酸鉄液10mlを(d)の滅菌基礎培地(980ml)に加えて混和し、20mlずつ滅菌シャーレに分注し、平板に固める。ピロリン酸鉄粉末は遮光して保存する。ろ過滅菌したLーシステイン液とピロリン酸鉄液は4mlずつ滅菌試験管に分注し密栓して凍結保存すれば、この培地400mlを作るのに便利に使用できる。

b. Lーシステイン不含BCYE培地(BCYE−Cys)
 Lーシステインを加えていない点だけがBCYEa寒天と異なる。5%ヒツジ血液寒天や普通 寒天培地で代用できる。現在市販されているチョコレート寒天のなま培地にはヘモグロビンの他に発育促進用にIsoVitalXが添加されているので、レジオネラ属菌が僅かに発育し判断を誤ることがあるので使わない方がよい。(レジオネラ属菌の培養に成功した最初の培地にはヘモグロビンとIsoVitalXを加えてあった。)

c. 選択培地
 レジオネラ属菌は発育が遅いので、人工環境水を培養する時、混在する他の細菌や真菌の発育に覆われたり、それらの微生物が培地中に放出する抗レジオネラ物質の為に発育が抑制されて検出できない。このため上記のBCYEa寒天培地に種々の抗菌剤や抗真菌剤を加えた選択培地を用いる。これらの選択培地でL.pneumophilaは一般 によく発育するが、レジオネラ属の中には発育が中等度または著明に抑制される菌種、菌株もある。
c-1 WYOaα(Wadowsky-Yee-Okuda. glycine-vancomycin-polymyxin B-amphotericin B supplemented with α-ketoglutarate)培地平板:栄研化学からなま培地平板として市販されている。
c-2 GVPC(glycine-vancomycin-polymyxin-cycloheximide)培地:メルク(Merk)社からレジオネラ‐コンビ‐パック(Legionella-Combi-pack)の商品名で市販されている。この商品は培地500ml用の基礎倍地粉末、凍結乾燥した発育因子添加物、凍結乾燥した選択剤が組み合わされた半製品で、最終的に自作しなければならない。
c-3 MWY(Modified Wadowsky-Yee)培地:基礎培地粉末1ポンド瓶、培地100ml用の凍結乾燥発育因子と凍結乾燥選択剤がそれぞれ別 個に市販されている。
c-4 レジオネラ属菌用の主要な なま培地入手先は以下の通りである。
 BCYEα寒天平板 栄研化学、日研生物化学、BBL
 WYOα寒天平板 栄研化学
 GVPC,BMPA寒天平板 日研生物化学
 これらのなま培地の中には有効期限が明示されていないものもあり、注意が必要である。その他、レジオネラ属菌用基礎培地(粉末またはなま培地)、添加物、選択剤がDifco(三光純薬)、bioMerieux、Oxoid(関東化学)、Merkなどから入手できる。これらの半製品の販売単位 は、平板培地1枚分から1liter(平板50枚分)まで種々である。Oxoid社のMWY選択剤には色素が加えられており、レジオネラ属の菌種によっては集落が淡黄色または淡青色になり識別 に役立つと言われている。しかし着色によって複数の菌種が示唆されるに止まり、特定の菌種の同定には至らない。また一般 に着色は淡く、製造日数の経過した製品では発色が殆ど認められない場合もある。

 [2]  検水の採取
a. 加圧蒸気滅菌したねじ栓付き耐熱性ポリプロピレン瓶(容量500ml)に採取する。この時、瓶の上部に約10%くらいの空間を残す。他の水質検査項目も実施するときは、同様の瓶のもう1本にも採水する。容器の栓にゴムやコルクなど汚染源となるものを使用してはならない。容器を加圧蒸気滅菌するときは、容器内部で蒸気を発生させるため、少量 の蒸留水を入れ、ねじ栓を弛めておく。滅菌終了後にねじ栓を締めておけば長く保存出来る。
b. 検水は、浴槽水の表層部から採取するのが最も容易である。しかし最近は配管内の、ぬ めりをぬぐい取って調べるべきだともいわれている。これは、レジオネラ属菌がその菌体表面 にグライコカリックスと呼ばれる粘性物資を産生して膜状物(バイオフィルム)を形成して配管に付着し、種々の外的因子から保護されて生残するためと考えられるためである。
c. 採水時に検水の温度を現場で測定する。また同時にpHと電気伝導率を測定することが望ましい。塩素を自動注入している場合は、o-トリジン法などにより残留遊離塩素を測定する。レジオネラ属菌を検出する目的で採取した水から遊離塩素が証明されれば、25%Na2S2O3を1/500量 加えて塩素を不活化する。
d. 検水容器には検水の種類、採取場所(施設名と浴槽名)、採取年月日、採取時刻、採取者氏名を明記する。

 

図4.培養による浴槽水レジオネラ属菌の検出・同定法

 

(1)フィルター貼付法

 

(2)冷却遠心濃縮法

 

(3)フィルター濃縮法

e.   検水は凍結させず保冷容器に入れて搬送し、出来るだけ速やかに検査を実施する。他施設へ検査を依頼するときは5〜10℃の保冷状態で相手施設へ急送する。
f.   検水は採取後すぐ調べる。止むを得ぬ時は出来るだけ2日以内とし、5日以上にならないようにする。検査が円滑に行われるよう、採水および検水送付の日取りについてあらかじめ検査施設と打ち合わせておく。
g.   検水は6℃から18℃の間に保存する。検水採取から濃縮検体培養まで最大限度は6±2℃で14日以内と言われる
(ISO 11731)


 [3] 検水濃縮法
a.  減圧吸引濾過後のフィルター貼付法(図4-1)
 検水100mlと酸性バッファー100mlを混合し室温(25℃)20分間おいたものを直径47mm黒色または90mm白色、孔径0.45mmのメンブランフィルターを装着した減圧濾過器で濾過する。濾過後滅菌蒸留水で管壁を洗い再度吸引濾過する。
b.  冷却遠心濃縮法とフィルター濃縮法(図4-2、4-3)
a)  検水200mlを10℃、6000rpmで20分間冷却遠心し、上清を捨て沈渣を滅菌蒸留水1mlに懸濁し200倍濃縮とする。このとき管壁、管底に付着した菌を丁寧に回収する。
b)  検水500mlを直径47mm、孔径0.22μmのメンブランフィルターを用いて減圧吸引濾過し、5mlの滅菌蒸留水に浸しボルテックスミキサー等で振盪する(2分以内)。濃縮検水又は沈殿物の保存は14日以内とする。


 [4] 濃縮または濃縮検水の前処理
 選択培地を用いても発育を抑制できない微生物に対処するため、検水の酸処理または熱処理を行う。
a. 酸処理
 バッファー:0.2M Cl 3.9mlと0.2M KCl 25mlを混合し1M KClでpH2.2とする。121℃15分間加圧滅菌する。この滅菌バッファーはこれ以後無菌的に扱う。濃縮または非濃縮検水と酸処理バッファーとを等量 混合して室温(25℃)に4-20分間置く。
b. 熱処理
 200倍濃縮検水と滅菌蒸留水を等量混合し(後の計算に便利なように100倍濃縮にする)、その1mlを50℃の水浴またはヒートブロックに20分間置く。この時、管壁に付着している一般 細菌を処理するため、試験管の上部まで充分加熱されるよう注意する。


 [5] 接種と培養
a.  フィルター貼付法では、菌を補足した面を上にしてフィルターを選択培地表面 に貼り付ける。このときフィルターと培地の間に空気が入らぬよう、両者を密着させる。いわゆる「直径9cmシャーレ」の身の内径は87mm前後なので、90mmのフィルターを用いると周囲に襞を作らなければならない。
 前処理した100倍濃縮検水100μlを選択培地平板にとりコンラージ棒で塗布する。平板培地を、10枚使用し出現集落数を合計すれば検水100倍濃縮検水1mlすなわちもとの水100ml当たりの生菌数の実数が得らる。この方法では信頼度は上がるが、費用も嵩む。最初に100μ l塗布し一旦乾燥させた後再度100μl塗布すれば検水量を2倍にすることができる。
b.  37℃で5〜7日間(10日まで)培養する。培養期間が長いので、平らな容器に水を張って孵卵器に入れるか、または培養物を密封出きるプラスチックなどの平らな容器に収納して乾燥を防ぐ。
c. 培養24〜48時間後に出現した集落はレジオネラ属菌ではない。レジオネラ属菌の独立集落は培養4〜5日目から出現しはじめ、6〜7日前後で集落性状が判定できるまでに生育する。培養3日目までは培養物を観察しなくてもよいという意見もあるが、レジオネラ属菌によく似た他の菌の集落が培養早期から出現する場合があるので、それを確認しておくためにも、培養物は毎日観察する。培養早期に出現した集落には培地の裏から印を付けておくとよい。
d. 各種レジオネラ培地に出現する灰白色、僅かに透明感があり湿潤した大小不同の集落で、辺縁はやや不正、特有の酸臭があればレジオネラ属菌を疑う。レジオネラ属菌は純培養であっても集落の大きさが不揃いである。逆に集落が同じ様にみえても菌種や血清群の異なる集落が混じっていることが少なくない。
 培地に貼付したフィルター上ではレジオネラ培地上と異なり集落は小さく淡い黄色を帯びる。 集落性状が異なるので、最初から実際の検体を調べるのでなく、まず信頼出来る純培養菌を用いフィルター上での発育状況に慣れる必要がある。 集落数が多い場合は、培地上と同じ淡い酸臭を発する。(図5)
e.  独立集落数個をそれぞれBCYEα−Cys(又は5%血液寒天)とBCYEa寒天平板に植継ぐ。この時1枚の平板培地を6〜8区画し、各区画に1集落を植継ぐ。集落を植継ぐときは必ずL‐システイン不含培地に先に接種しBCYEa寒天は後にする。これは微量 のBCYEa寒天が白金耳に付いて持ち込まれると、レジオネラ属菌がL−システイン不含培地でも発育し判定を誤らせるからである。
f.  継代培養についで、発育菌をスライドグラスに塗抹しグラム染色する。
g.  BCYEa寒天に発育してBCYE−Cys(または血液寒天)に発育しないグラム陰性桿菌と考え、集落数を数える。1個の集落は1個の親細菌から出発した子孫の集まりという前提のもとに、一定量 の検水を塗抹培養した時に現われる集落数を算定すると、もとの水の単位 量当たりの生菌数を算出することが出来る。 この方法では死菌は数えられない。100倍濃縮検水100mlを平板培地に塗布しレジオネラ属菌の集落が1個出現したとき、もとの水100ml当たりのレジオネラ属菌の生菌数10CFUで、これがこの方法での検出限界である。最初の検水量 を1literにするとか、塗抹培養する平板培地の枚数を多くすると、検出感度を上げることが出来る。実際に温泉旅行後にレジオネラ肺炎にかかった人があった場合、通 常の検査法でその温泉浴槽水から菌が検出されなかった時は、感度を上げて再検査する必要がある。

A
図5-A 直径47mm black filter、孔径0.45μm.Advantec.左BCYEα寒天、右GVPC培地。
Legionella pneumophioaSG1EY3246T.6 CFU/100ml.培地による差は認められない。

B
図5-B 直径90mm、white filter、孔径0.45μm.Advantec.左右ともGVPC培地。
左104CFU/100ml,右102CFU/100ml

C
図5-C 直径12cmと9cmのシャーレ。
フィルターは直径90mm、white filter、孔径0.45μm.Advantec.培地はすべてGVPC培地。使用菌株はLegionella pneumophioaSG1EY3246T.フィルター上の発育菌は黄色で、培地上の集落と異なる。上104CFU/100ml,下102CFU/100ml、フィルターなし培地には菌液100μ lを塗布。

 [6]  同  定
a. 表現形質による同定
 これまではレジオネラ属の各菌種間の鑑別・同定に役立つ表現形質が少なかった。その中で自発蛍光の有無と種類および馬尿酸水解試験がやや鑑別 に役立つ。即ちL.bozemanii を含めて7菌種の集落は365nmの長波紫外線下で明るい青白色蛍光を発し、L.erythraL.rubrilucens は暗赤色の蛍光を示す。馬尿酸水解試験が陽性であれば概ねL.pneumophila と考える。長波紫外線ランプはヤマト科学から入手できる。馬尿酸水解試験には馬尿酸ナトリウムを1%になるよう滅菌蒸留水に溶かし、ねじ栓付き試験管(13x100mm)に0.4mlずつ分注し−20℃に保存する。ニンヒドリンを3.5%になるようアセトン・ブタノール1:1に溶解し室温暗所におく。BCYEα寒天培地48〜96時間培養菌1白金耳を、融解した馬尿酸塩溶液に濃厚に懸濁しねじ栓を締めて35℃に18〜20時間置いた後、ニンヒドリン液0.2mlを加え再びねじ栓を締めて孵卵器に戻し、10分後に判定する。程度の差はあっても紫色が出ていれば陽性と判断する。
b. 血清学的同定
 種の同定(L.pneumophila,L.micdadei,L.bozemanii,L.dumoffii,L.gormanii)及びL.pneumophilaの血清別 群(SG1〜6)のためのスライド凝集反応用抗血清(デンカ生研)が市販されている。これらの抗血清を使って間接蛍光抗体染色を行うこともできる。しかし菌種間及びSG間に交差があり、入手可能な抗血清の種類も上記の菌種と血清群に限られている。
 血清群別はファージ型別、薬剤耐性、毒素産生能、病原性などとともに亜種(時には種)よりも下位 の細分である。それゆえ種または亜種が同定された菌株について、それより下位 の血清群別を行なうのが常道であり、種または亜種の同定が終わっていない菌株を最初から血清群別 するのは正しい方法ではない。レジオネラ属菌は同定に役立つ生化学性状がすくないので、レジオネラ属菌が疑われた段階で市販のL.pneumophilaの群別 血清に当ててみることが広く行なわれている。しかしL.pneumophilaの群別 血清に凝集しない菌株は、改めてDNA-DNAハイブリダイゼイションで種の同定を行なわなければならない。レジオネラ属の全菌種の同定を抗血清を用いた凝集反応で決定することは不可能である。仮に各菌種に対する抗血清が用意されていたとしても、交差反応等を考慮すれば、その結果 を全面的に信頼することは出来ない。
 L.pneumophilaSG1の菌株は、数種1組の単クロン抗体によって更に細分(型別 )され、人に対して病原性の強い単クロン型(例えばベニドーム)が注目されてきた。しかしこの単クロン抗体パネルは世界的に普及せず、その一部はすでに失われているという。このため新しい単クロン抗体パネルが研究されつつある。
c. 核酸を用いた同定法
 表現形質での同定が困難なため、マイクロプレートを用いたDNA-DNAハイブリダイゼイション法のキットが市販されているが需要が少ないため円滑に供給されていない。現行のキットで同定出来るのはL.pneumophilaを含めて25菌種が同定出来るが、その後の菌種の増加に対応出来ていない。
 検体から直接レジオネラ属菌を迅速に検出するためにpolymerase chain reaction(PCR)法が試みられている。特性の異なる数種のプライマーが開発され一部は既に市販されている。PCR法は高感度で数時間内に結果 が得られ、レジオネラ属およびL.pneumophilaが決定でき、半定量 性がある(68-71)。しかしPCR法が陽性でも生菌が手に入らぬ事、L.pneumophila以外の種・亜種・亜種以下の細分(血清群別 、血清型別、薬剤耐性など)の情報が得られないなどの不利点がある。これらをどう克服するか、従来からの培養法と併用するか、経費の問題も含めて検討しなければならない。PCR法による環境水中レジオネラ属菌検出手順を図6に示す(32,33)。

(2) 検査頻度
[1] 源泉の湯温が60℃以上、pHが5.0以下の温泉は1年に1回以上浴槽の湯の検査をする
[2] 源泉湯は上記の様でも湯温を下げるため水を混ぜ循環濾過している温泉では入湯客の多い時と少ない時に検査し、自施設のレジオネラ汚染を認識しておく
[3] 計画通り消毒洗浄している温泉では、繁忙時の消毒前と後を組み合わせて年2回の検査を実施する

(3) 検査結果の報告と保存
 施設の浴室管理担当者のみならず、施設全体の責任者も検査結果 報告の内容を了解しておく。検査結果は事故発生時に備え、3年間保存する。
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