レジオネラ属菌は自然界の土壌や淡水に生息している。環境水が自然のまたは人為的な種々の理由でエアロゾル化するとき、水中のレジオネラ属菌は我々の肉眼では見えない微小な水滴(直径0.8-10μ
m)に内包され、容易には落下せず、湿度が高ければ蒸発せずに空気中に漂う。レジオネラを内包出来る水滴の直径は2μ
m以上で、呼吸器に吸入されて肺胞に達するのは5μm以下といわれる(55)。冷却塔から飛散するエアロゾル問題を解決すれば、温泉を含む公衆浴場や家庭用浴槽がレジオネラ汚染はなくなる筈という意見もあったが、冷却塔、温泉浴槽、家庭用24時間風呂から検出されるL.pneumophilaの血清群分布の相違を見ると、この意見に全面
賛成するわけにはいかない。平成9年度に調査した28温泉旅館の18源泉、72浴槽の湯から検出されたL.pneumophila、50菌株の血清群別
を表8に、冷却塔水、温泉浴槽水、24時間風呂浴槽水から検出されたレジオネラ属菌、1361株の菌種と血清群の比較を表9に示す。