生衛業経営指標の算出方法と比率の説明
 
 
収  益  性 1) 総資本経常利益率(%) 〔経常利益÷総資本(負債+資本)〕×100
 経営に投下された総資本がどれくらいの利益を生んでいるかを調べる
指標で預金利息よりも低ければ問題がある。
  「この比率は売上高経常利益率(経常利益÷売上高)×総資本
 回転率(売上高÷総資本)に分解されるが、利益率を重視する
 企業では売上高経常利益率が高くなり、薄利多売の企業では総
 資本回転率が高くなる。」                 
2) 売上高総利益率(%) (売上総利益÷売上高)×100
 総売上高(純売上高+兼業等の営業収入)から売上原価(原材料費 や仕入商品)を差し引いた利益の割合を示すもので、収益性を判断す る基本的な比率の一つである。一般 的には荒利益率、粗利益率ともい う。
3) 人件費対売上高
  比率(%)
(人件費÷売上高)×100
 総売上高のなかで人件費(個人企業の店主給与は除く)の占める割 合を示すもので、諸経費に占める人件費の割合と併せ検討する。
4) 諸経費対売上高
  比率(%)
〔諸経費(人件費、減価償却費を除く)÷売上高〕×100
 人件費と減価償却費を除いた営業経費が売上高に占める割合を示す ものである。売上高利益率をコスト面から見るものであり、減価償却 費は機械・設備の費用であるため諸経費とは区別 している。
5) 金融費用対売上高
  比率(%)
(支払利息割引料÷売上高)×100
 借入金の支払利息や受取手形の割引料の負担が売上高に対してどの 程度かを示すもので、企業の資本構成の健全度を示す指標である。
 また、金融費用は他人資本の増加に伴って増大し、これが大きいと 利益計上に大きく影響するので、売上高や総費用、営業費用等と比較 して検討する必要がある。
6) 金融費用対借入金残高
  比率(%)
〔支払利息割引料÷(短期借入金+長期借入金)〕×100
 借入金に対する支払利息の割合、つまり借入金利がどの程度になっ ているかをみるもので、政府系金融機関の基準金利等と比較検討する 必要がある。
7) 地代家賃等対売上高
  比率(%)
(地代家賃÷売上高)×100
 土地や建物の賃借料が売上高に占める割合を表している。都市部に おいては、店舗等の賃借料の負担が大きくなっているので、売上高や 営業経費と比較して検討する必要がある。
8) 光熱水料対売上高
  比率(%)
(光熱水料÷売上高)×100
 電気代や水道料が売上高に占める割合を表している。業種によって かなり差があるので、その業種の平均と比較して判断する。
生  産  性 9) 従業者1人当たり
  売上高 (千円)
売上高÷ 従業者数
 この比率は経営効率、収支関係にとって重要なものであり、同業他 社や内容の良い企業と比較することにより企業内容を判断することが 出来る。
10) 従業者1人当たり
  粗付加価値額(千円)
(人件費+減価償却費+支払利息割引料+当期純利益)÷従業者数
 その企業が新たな価値をどの程度生み出したかを従業者単位 で判断 するものである。
11) 有形固定資産
  回転率(回)
売上高÷〔(機械・器具・什器・車両)+(土地・建物)〕
 固定資産の利用度、つまり固定資産が有効に活用されているかどう かを判断する比率で、この比率が高いほど設備資産が十分に活用され ていることになる。
12) 従業者1人当たり
  人件費(千円)
人件費÷従業者数
 企業経営において大きなウェイトを占める人件費の割合がどの程度 かを従業者単位で判断する指数である。
13) 店舗面積3.3m2当たり
  売上高(千円)
(売上高÷店舗面積)×3.3
 店舗営業面積(店舗に併設されていない事務所や倉庫、駐車場等を 除く)3.3m2当たりの売上高で、効率性を判断する。
14) 1客席(室)当たり
  売上高(千円)
注:理・美容業は椅子
1台当たり
売上高÷客席数(客室数・椅子台数)
 飲食店営業の場合は1客席当たり、ホテル・旅館業の場合は1客室 当たり、理・美容業の場合は椅子1台当たりの売上高を表しており、 施設の効率性を判断する。
安  全  性 15) 流 動 比 率(%) (流動資産÷流動負債)×100
 短期(1年以内)の負債とこの支払いに引当てられる流動的な資産 とを比較する比率で、この比率が高いほど支払能力があり、経営の安 全が保たれていることを示すものである。企業の短期的な支払能力を 表す基本指標で、企業の健全性や資金繰りの判断に使用する。
16) 固定長期適合率(%) 固定資産÷(自己資本+固定負債)×100
 長期資本(自己資本+固定負債)に対する固定資産の割合を示すも ので、固定資産の保有状況や新規設備投資計画の妥当性を判断する重 要な指標である。企業の安全性の見地から、固定資産への投資は出来 るだけ自己資本で賄い、不足する分は長期借入金で補填することが必 要であるが、この比率が100%を超えている場合は、固定資産の一 部が流動負債に依存していることになる。100%以下が望ましい。
17) 自己資本比率(%) 自己資本÷〔総資本(負債+資本)〕×100
 企業が借り入れている資本と自己調達している資本の割合を示すも ので、企業資本の調達源泉の健全性、とりわけその資本蓄積の度合い を判断するのに使用する。
そ  の  他 18) 損益分岐点比率(%) 〔(営業経費+支払利息割引料)÷売上総利益〕×100
 損益分岐点売上高とは、収益の額(売上高)とその費用の額が等し くなる分かれ目の売上高(利益も欠損も発生せず収支が均衡する売上 高)のことであるが、この損益分岐点売上高を実際の売上高で除して 求めたものが、損益分岐点比率でこれにより分岐点の位置や利益の余 裕度を知ることができる。この比率は、低ければ低いほど良い。例え ば、この比率が80%の企業の場合、現在の売上高の80%の売上が 損益分岐点であり、現在の売上高の20%を利益の余裕度として持っ ていることを示している。
19) 1企業当たり
  店舗面積(m2)
(集計企業の店舗面積の和÷集計企業数)×100
 1企業当たりの店舗の営業面積(店舗に併設されていない事務所や 倉庫、駐車場等を除く)を表しており、参考指標として採りあげた。
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