▼ 1.事業分野は妥当か  

▼ 2.事業内容を具体化する


▼ 3.競合状況を確認する  

▼ 4.セールスポイントを打ち出す

 

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事業分野は妥当か

 
 どのような事業を始めるのかを決めなければ、あなたの独立開業は前には進みません。まずは、漠然としたレベルから詳細なレベルへと、事業内容を具体化するプロセスを見ていきましょう。
 まず最初は、事業分野が妥当かどうかのチェックです。  事業分野は、たんに儲かりそうだとか、自分がやりたいことだからとかといった理由だけで決めるべきではありません。まず、事業分野の妥当性を次の三つの項目でチェックしてください。
 第1は自分ができることかどうかということです。経験や知識、ノウハウがあること、資格を持っていることなどがこれに当たります。未経験で手がけたことが事業として成り立つほど甘くはありません。また自分が得意とすることだからこそ、ビジネスチャンスも発見しやすくなります。
 第2は自分がやりたいことかどうかということです。情熱をもってできることでないと、つらいときでも頑張れません。
 第3は社会的にニーズがあるかどうかです。「できること」や「やりたいこと」であっても、ニーズがなければ事業としては成り立ちません。


事業内容を具体化する


 どんな事業をしたいのか、ある程度事業分野のイメージが固まれば、次に事業内容を具体化します。このステップで詰めが甘かったり、検討漏れがあったりすると、開業資金を金融機関などから調達することは不可能です。たとえ開業できたとしても、いずれ行き詰まることにもなりかねません。
 事業の内容を具体化するために考えるべき要素は、次の「4W2H」です。


事業内容を具体化する4W2H


WHAT
(商品・サービス)
 何を販売するのかということです。

 食肉販売店のように商品を提供することもあれば、理容業、クリーニング業のように役務(サービス)を提供することもあります。あるいは、飲食店などのように、料理(商品)だけでなくその店のもつ雰囲気や接客などを同時に提供することもあります。


WHOM
(販売先)
 誰を対象に販売するのかということです。

 一般消費者を相手とするのか、あるいは特定の顧客層にターゲットを絞るのか。特定の顧客層にターゲットを絞るのであれば、商品設計、店舗設計等あらゆる点でそれに応じたコンセプトの提示が必要になります。


WHERE
(営業場所)
 どこに店舗を構えるか、つまり立地のことです。

 WHAT(何を売るのか)、WHOM(誰に売るのか)、HOW MUCH(いくらで売るのか)などに応じて最適な立地を検討する必要があります。飲食店などのように、業種によっては立地の選定が事業の成否に致命的な影響を与える場合もありますから、慎重に検討することが必要です。

 

WHEN
(営業時間)
 何時から何時まで営業するのか、営業時間のことです。

 午前10時から午後7時までといった通常の営業時間以外にも、深夜営業、早朝営業、24時間営業などが考えられます。顧客のニーズや利便性に合わせた時間設定を考える必要があります。

 

HOW MUCH
(販売価格)
 値段設定や販売価格帯をどうするのかということです。

 定価販売か割引販売か。高価格品を扱うのか低価格品を扱うのか。WHAT(何を売るのか)、WHOM(誰に売るのか)に応じて販売価格帯を検討する必要があります。

 

HOW
(売り方)
 どのような仕組みで販売を促進するのかということです。

 例えば、ダイレクトメールを発送したり、ポイントカードをつくってポイントが貯まった人に優待販売したりするということも、ここに含まれます。

 この「4W2H」は言い換えると、自分がやろうとしている事業を具体的に定義することになります。この定義は、たとえば融資を申し込んだ金融機関などに事業内容を理解してもらうためにも必要なことです。  また、他社との違い、セールスポイントを考える上での切り口にもなります。
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競合状況を確認する

 
 「4W2H」で自分の事業を定義できたら、競合状況を確認します。
 一般的に「成長市場は混雑市場」と言われているように、伸びている市場や立地は競合が激しくなっています。大企業が参入してくることも少なくありません。たんに成長している市場、立地だからといって、事業内容を決めてしまうと、激しい競争に巻き込まれてしまうことにもなりかねません。
 小売業や飲食店、個人向けのサービス業を開業しようとしている場合は、おおよその商圏を想定しているはずです。その商圏の中に同業者がどれくらいいるのかを調べてみましょう。タウンページなどを利用すれば簡単に調べられます。実際に足を運んでみることも重要です。
 さらに、同業者がどのようなセールスポイントを打ち出しているのかを調べ、どこにすき間が空いているのかを検討してください。
 そのうえで自分の事業のセールスポイントを打ち出さなければなりません。つまり、差別 化を図るということです。


セールスポイントを打ち出す

 


 今までに例のないまったく新しい分野の事業に進出するのでないかぎり、先発企業との競争は避けることができません。いったん開業すれば、そのような激しい競争のなかを生き残っていかなければなりません。
 新規開業企業は、先発企業と比べると、経営体力や信用力などが劣ります。そんな新規開業企業が先発企業と競争するには、先発企業にはないセールスポイントを打ち出さなければなりません。
 ではどうすればセールスポイントを打ち出すことができるのでしょうか。いろいろな考え方がありますが、ここでは、先に述べた「4W2H」を切り口にして、セールスポイントの打ち出し方を考えることができます。
 生活衛生業種の事例ではありませんが、それぞれの切り口でセールスポイントを打ち出した事例を紹介します。
 (別ウインドウが開きます)


 1. WHAT→商品・サービスによる差別化の事例

 2. WHOM→販売先による差別化の事例

 3. WHERE→営業場所による差別化の事例

 4. WHEN→営業時間による差別化の事例

 5. HOW MUCH→販売価格による差別化の事例

 6. HOW→売り方による差別化の事例


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1.具体的な準備に入る前に2.事業内容をどう決めるか3.事業計画書をつくる4.事業形態の選択肢5.資金計画6.開業に伴う届出