3. 居抜きで店舗を購入する


 「居抜き」とは、主に、飲食店の物件によく見られる形態です。一般 的には、店舗に付随する造作(内外装、カウンターや棚など)や設備(厨房器具など)、備品(グラスや皿など)などをそのままの状態でまとめて買い取ることです。店舗の賃貸借契約を家主と直接締結するケースと、賃借権を前の経営者から譲り受けるケースがあります。
 開業に必要な設備類はすべて揃っているので、てっとり早く開業したい場合には便利な方法です。しかし、さまざまなデメリットも伴うので、居抜きで開業する場合は慎重に検討を重ねなければなりません。
 チェックポイントは次のとおりです。
 

1

賃貸契約書をチェックする

 

 居抜きで店舗を購入する場合、店舗の賃貸借契約書をチェックするべきです。  店舗の賃借権を前の経営者から譲り受けるケースでは、家主の承諾が必要です。居抜きはあくまで前の経営者との契約にすぎないため、無断で賃借権を譲渡すれば家主には対抗できないからです。したがって、家主と前の経営者との間にどのような賃貸借契約が交わされているかを確認しなければなりません。  転貸(また貸し)を禁止する条件があり、家主から承諾書をもらえない場合、その店舗はあきらめましょう。また、たとえ転貸を認める契約になっていても、家主がどのような条件を設定しているかを確認したうえで、家主の承諾を得ておいたほうが無難でしょう。  家主によっては、居抜きを認める代わりに名義書換料として居抜き料の1〜2割を請求することもあります。  前の経営者が家賃などを滞納していないかどうかもチェックしておくべきです。



2

設備等の必要性をチェックする

 

 居抜きの場合、必要となる設備等が揃っており一見便利そうにみえますが、前の経営者が使えなくなった設備を放置している場合もあるので、設備が正常に使えるかどうかを確認する必要があります。
 また、不要な設備等があった場合、その撤去や処分にかえって費用を要する可能性もあります。自分の店づくりに必要な設備かどうかをチェックすることも必要です。



3

前の経営者はなぜ手放すのか

 

 繁盛している店が居抜きで売りに出されることはめったにありません。したがって、前の経営者が店舗を手放す理由や、業績不振で手放すのならば不振の原因が何なのかを調べる必要があります。
 立地の悪さや店のつくりの悪さ、激しい競争が不振の原因であれば、居抜きで買い取るメリットはありません。商品(メニュー)構成やサービスの悪さなど前の経営者の経営手腕が原因であれば、やり方次第では繁盛店にすることもできます。ただし、この場合でも以前の悪いイメージを一新しなければならないため、内装を改めるなどさらに費用がかかることも考えられます。


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1.具体的な準備に入る前に2.事業内容をどう決めるか3.事業計画書をつくる4.事業形態の選択肢5.資金計画6.開業に伴う届出