食肉・食鳥肉販売業-1996年
1.概況
1996年
(1) 大幅に減少している商店数 〜1店舗当たりの売上は増加〜
    平成6年の全国の食肉小売業(食鳥肉を含む。)の商店数は24,723件で、前 回調査比で14.2%の減少となった。昭和54年の43,874件をピークに減少 の傾向をたどり、ピーク時の6割近くまで減少している。このうち、食鳥肉小売業は 3,706店あり、前回に比べ657店減少、ピークの昭和49年(8,445店) の4割余りとなっている。

  次に、商店数の推移を従業者規模別でみると、従業者数4人以下の店が全体の82 .3%と大半を占めているものの、前回との比較では3,944店、16.2と大幅 に減少している。一方、1店舗当たりの売上高は4,807万円で、平成3年に比べ ると1.7%の増加となっている(食鳥肉小売業は2,353万円、マイナス4.5 %)。
(2) 減少著しい年間販売額

  食肉小売業(卵・食鳥肉小売業を含む。)の年間販売額は1兆1,885億円と平 成3年に比べ1,726億円、12.7%の減少となっている。このうち卵・食鳥肉小売業の年間販売額は872億円であり、前回から203億円、18.9の減少となっ ている。

  なお、食肉卸売業の年間販売額は6兆9,075億円(平成3年に比べ▲7,190 億円、9.4%の減少)となっている。それぞれ減少しているが、牛肉の輸入自由化 と円高の進行による価格破壊、健康志向による食生活の変化等が、大きく影響してきているものと思われる。

食肉小売業の商店数の推移

(単位:件,%)
調査年
従業者規模別
合 計
年間
販売額
1店舗
当たりの
年間販売額
1〜4人
5〜9人
10人以上
昭和60年
〈85.5〉
30,936
〈12.3〉
4,434
〈 2.2〉
801
〈 100.0〉
36,171
13,537
3,742
昭和63年

〈83.6〉
27,561

〈13.7〉
4,506
〈 2.7〉
912
〈100.0〉
32,979
13,384
4,058
平成3年
〈84.3〉
24,293
〈12.8〉
3,695
〈 2.9〉
820
〈100.0〉
28,808
13,611
4,725
平成6年
〈82.3 〉
20,349
〈13.8〉
3,423
〈 3.8〉
951
〈100.0〉
24,723
11,885
4,807
資料: 通産省「商業統計表」
(注)〈 〉内は構成比である。
2.最近の動向
(1) 食肉専門店の激減
    商店数の変動を「平成6年商業統計表(業態別統計表編)」からみると、スパー、 コンビニエンスストアの業態は、店舗数では7.1%の構成比であるが、昭和60年 との比較では、17.9%の増加となっている。他方専門店は、76.2%の構成比 を占めるもののこの間27,167店から18,834店へ、8,333店、30. 7%の減少となっている。 戦後、消費生活の高度化や食の洋風化等により、食肉消費量 は急速に拡大してきた が、牛肉の輸入自由化・円高の進行、外食習慣の定着化、流通 機構の改善を背景とし た大型店の増加等業態間競争の激化等により、旧来型の食肉専門小売店は、厳しい経 営環境におかれ、淘汰と経営合理化の時代を迎えているといえる。
(2)

落ち込み目立つ食肉消費需要

 

  総務庁「家計調査年報」によると、平成7年における生鮮肉に対する1世帯あたり の年間の消費支出は69,471円で、平成3年の78,549円以降、4年連続で 減少し、昭和53年以来最低水準となっている。肉の種類別でみると、牛肉が46. 6%、豚肉が30.5%、鶏肉が15.9%の構成割合となっており、昭和50年を 100とした支出額及び購入量の指数は、牛肉114.4(購入量 134.8)、豚 肉74.0(同76.6)、鶏肉76.7(同83.9)となっている。

 牛肉は生活水準の向上と輸入自由化により消費の増加はみられるものの、反面 、豚 肉、鶏肉は50年代をピークに消費が伸び悩み傾向にあり、総じて一般 家庭における 消費需要は頭打ちの感がある。他方、外食産業の発展や肉を使った加工食品の増加に より、近年業務用の需要は増加傾向にある。

(3) 銘柄鳥ブーム
 

  全国展開の大手スーパーで独自の銘柄鳥を扱う動きが弾みとなって、銘柄鳥の大衆 化が急速に進んできている。全国食鳥新聞によれば、平成7年以降小売店で扱ってい る銘柄鳥の種類は50%以上増加しているといわれており、ブロイラー中心の単一チ キン文化から、地鶏・銘柄鳥の多様なチキン文化への兆しが見えてきている。

 銘柄鳥 の代表としては、名古屋コーチン、三河どり、あか鳥、一風変わったところではハー ブチキンなどがある。

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