食肉・食鳥肉販売業-2001年
1 概況
2001年
(1)
淘汰と経営合理化の時代を迎えた食肉小売店
  食肉専門小売店は、いわゆる生鮮3品専門小売店の一角を占め、野菜、鮮魚専門小売店と並び、家庭料理の素材を提供、主婦の買物にもっとも密着した専門店である。戦後、食の洋風化や日本経済の成長に伴う所得水準の高まりから、消費生活の高度化が進み、食肉消費量 は従来の豚肉に加え牛肉の消費が急速に拡大した。とくに豚肉の消費が主体であった地方にも牛肉の消費が普及していったため、食肉専門小売店は全国的に増加していった。
  ところが、流通機構の改善を背景としたス−パ−など大型店の増加、一方では共稼ぎ世帯の増加に伴い、主婦の生鮮3品を用いた料理機会の後退や、外食産業の発展による外食の増加などから食肉の消費量 が後退し、食肉購買量は減少していった。 また、主婦の買物行動も、日・祭日にス−パ−で生鮮3品までを含めたワンストップショッピングによるまとめ買いに変化していったため、大型小売店と生鮮3品の専門小売店との間で業態間競争が激化し、旧来型の食肉小売店は、厳しい経営環境に置かれ、淘汰と経営合理化の時代を迎えているといえよう。
(2)
激減の食肉小売業者数
  平成11年の全国の食肉小売業(食鳥肉を含む)の事業所数は19,066店で、9年に比べ9.4%減少している。昭和54年の43,874店をピークに減少傾向をたどり、平成3年以降は2桁台で減少していき、平成11年をピーク時と比べると4割台の水準にまで後退している。  食肉小売業(食鳥肉を含まず)と卵、食鳥肉小売業に分けた統計は、現状では平成9年が最新となるが、内訳別 に事業所数の推移をみると、食肉小売業(食鳥肉を含まず)が17,859店(構成比84.9%)で、ピ−クの昭和54年36,136店に比べ半減の水準となっている。  一方、卵・食鳥肉小売業の平成9年の事業所数は3,187店(同15.1%)であり、ピ−クの昭和49年8,445店に対して4割弱の水準に落ちこんでいる。表1にみられるように、平成3年以降の減少率は2桁台で両者とも同じような足取りをたどっている。  なお、生鮮3品について平成11年の商店数は、食肉小売業19,066店、鮮魚小売業29,873店、野菜・果 実小売業34,243店であり、食肉小売業は鮮魚小売業の64%、野菜・果 実小売業の56%に過ぎない。これら3業種について11年対6年の商店数増減率を比較すると、鮮魚小売業と野菜・果 実小売業の14.5%減に比べ、食肉小売業は両業種を上回る22.7%減となっている。

 表1 食肉小売業の商店数の推移
                                        (単位 :店、%)
  食肉小売業合計 うち食肉小売業
(卵、食鳥肉除く)
うち卵、食鳥肉
小売業
昭和60年 36,979(-12.6) 30,411(-11.8) 5,760(-16.5)
 63年 32,979(-8.8) 27,869(-8.4) 5,110(-11.3)
平成 3年 28,808(-12.6) 24,445(-12.3) 4,363(-14.6)
6年 24,723(-14.2) 21,017(-14.0) 3,706(-15.1)
9年 21,046(-14.9) 17,859(-15.0) 3,187(-14.0)
11年 19,066(-9.4)
                資料: 通産省「商業統計表」
       (注)1 ( )内は前年比増減である。
平成11年は、簡易調査であり内訳の調査はない。
(3) 目立つ高い廃業率
  平成8年から11年までの新設事業所数は1,667店で、一方、廃業事業所数は4,098店で廃業事業所が新設事業所を2,431店も上回って推移している。開業率は2.6%と低い半面 、廃業率は6.3%と、開業率の2.4倍に及んでいる。  (総務省「事業所、企業統計調査」平成11年)
(4) 大幅に減少する小規模店、半面、急増の10人以上規模店
  卵、食鳥肉小売業を含めた食肉小売業全体で、従業者規模別商店数は、従業者数4人以下の店が全体の82.6%と大半を占めているものの、9年との比較では13.6%減少し、減少傾向に歯止めがかからない。一方、5〜9人層は、昭和63年以降減少していたものが平成11年には9年に比べ5.9%増と反転、また、10人以上の規模は一進一退で推移していたが、同じくも11年には9年に比べ27.7%増と大幅な増勢に転じている。これからみて、中堅、大手企業など規模の大きい新規参入により、小規模層が業界から退出せざるを得なくなってといえよう。(表2参照)
(5) 年間販売額は小規模層では大幅減、中規模層は大幅増で対照的な推移
  食肉小売業全体の年間販売額は、11年は9,551億円と9年に比べ2.0%減となっている。昭和57年をピ−クに長年増加してきた年間販売額は、小幅ながら一進一退をたどりだした後、平成6年は3年に比べ大きく落ち込み12.6%減、9年は6年比で18.0%減と減少率が一層拡大したものが、11年には小幅な減少に転じているので、今後の動向が注目される。従業者規模別 に見ると、1〜4人層が21.4%減に対して、10〜49人層は16.3%増と対照的な推移を示している。なかでも、10〜49人層の内20〜29人層は27.4%増と著しく伸びている。
 1店当たりの年間販売額は5,010万円(月商417万円)で9年に比べ8.2%増となっている。生鮮3品の業種で比較すると、鮮魚小売業4,441万円、野菜果 実小売業4,628万円に対して、食肉小売業は5,010万円と両業種より多くなっている。なお、従業者1人当たりの年間販売額は1,303万円である。
表2 食肉小売業の商店数および年間販売額等の推移
(単位:店,%)
調査年 従業者規模 合計
1〜4人 5〜9人 10人以上
平成3年 〈84.3〉
24,293
〈12.8〉
3,695
〈 2.9〉
820
〈100.0〉
28,808
平成6年 〈82.3〉
20,349
〈13.8〉
3,423
〈 3.8〉
951
〈100.0〉
24,723
平成9年 〈82.6〉
17,394
〈13.5〉
2,835
〈 3.9〉
817
〈100.0〉
21,046
平成11年 〈78.8〉
15,020
〈15.8〉
3,003
〈 5.4〉
1,043
〈100.0〉
19,066
年間販売額 1店舗あたり
年間販売額
(万円)
(1.6%)
13,611
(16.4%)
4,725
(-12.7%)
11,885
(1.7%)
4,807
(-18.0%)
9,748
(-3.6%)
4,632
(-2.0%)
9,551
(8.2%)
5,010
資料:経済産業省「商業統計表」
(注)1 〈  〉内は構成比である。
   2 (  )内は前回調査との増減率である。
2 最近の動向
(1)
落ち込み目立つ食肉消費需要
  総務省「家計調査年報」によると、平成12年における生鮮肉(牛肉、豚肉、鳥肉、合いびき肉のほか、他の生鮮肉の合計)に対する1世帯あたり年間の消費支出金額は62,892円で前年に比べ4.3%減となっている。近年のピ−クである3年の78,549円以降8年まで5年間連続して減少していたものが9年に回復したが、再度10年以降3年連続して減少している。平成12年の支出金額は10年前の2年に比べ、14,306円も減少し、減少率は18.5%にも及んでいる。
  同資料により種類別に1世帯当たりの12年の年間消費支出金額をみると、牛肉26,140円(前年比5.4%減)、豚肉21,546円(3.6%減)、鳥肉10,605円(4.0%減)となり、牛肉の支出金額は豚肉、鳥肉に比べて多いが、減少率は最も高く牛肉需要の減退が目立つ。
  牛肉は昭和56年に豚肉の支出金額を追い抜き、それ以降、生活水準の向上と輸入自由化により消費の増加がみられ、右上がりの増加トレンドをたどったが、平成3年を境に傾向的に下降をたどり、消費者の購買態度に変化が生じている。
  豚肉の支出金額は、5〜6年間は傾向的に後退し、その後の2年間は増え、再度5〜6年間後退し続けるという固有の循環変動のパタ−ンが見られる。もし、このパタ−ンが今後も継続するとすれば、平成12年は後退局面 の3年目に当たり、豚肉の支出はあと2〜3年前後は引き続き減少をたどることになる。注目すべきは、増加年のピ−クの支出金額が昭和57年29,521円、平成2年24,421円、9年22,875円と支出水準が低下していることである。
 鶏肉支出金額にも同様な循環パタ−ンが見られるが、後退局面は4〜5年で豚肉支出金額よりやや短いが、その後の増加局面 は2年で豚肉と同じである。このパタ−ンが継続する前提に立てば12年は、下降3年目である。豚肉と同じく増加期間2年間のピ−クの支出金額は、昭和59年14,794円、平成3年12,530円、9年11,654円と支出水準が低下している。
(2)
都市別格差が著しい食肉支出
平成12年における1世帯当たりの種類別間消費支出(総務省「家計調査年報」)を都市別 にみると下記のとおりになる。
 生鮮肉(牛肉、豚肉、鳥肉、合いびき肉のほか他の生鮮肉の合計)
支出金額の多い順にみると、和歌山市85,073円、大津市84,285円、奈良市82,342円、大阪市81,304円、京都市80,878円と近畿圏が上位 を占めている。最多支出の和歌山市は全国平均の1.3倍、なっている。一方、少ない順では、前橋市40,061円、盛岡市43,724円、那覇市44,816円、長野市45,101円、水戸市48,626円となっている。前橋市は全国平均の60%台に過ぎず、また最多支出の和歌山市の約半分であり都市間格差が著しい。
牛肉
 支出が多い順では和歌山市が48,173円で全国平均26,140円の1.8倍となっている。次いで奈良市44,941円、京都市43,111円の順となっている。少ない順では盛岡市11,933円で全国平均の45%である。次いで前橋市12,611円、水戸市13,264円、長野市13,370円となっている。牛肉は鮮明に西高東低で色分けされている。最小支出の盛岡市最も支出の多い和歌山市の24%台であり、嗜好の違いが東西両都市間の格差を著しくしているといえよう。
豚肉
 支出の多い順に横浜市25,453円(全国平均の1.1倍)、青森市25,072円、甲府市24,866円となり、少ない順では宮崎市13,214円が最も少なく13,214円(全国平均の61%)となっている。次いで高知市15,179円、山口市14,948円となっている。豚肉は牛肉と異なり東高西低の傾向にある。最多の横浜市に対して最小の宮崎市は約半分の支出であり、牛肉程の都市間格差は存在しない。
鳥肉
 最も支出金額が多いのは、大津市の14,430円で全国平均の1.3倍であり、次いで福岡市14,144円、鹿児島市13,831円の順となっている。少ない順では、前橋市6,616円(全国平均の62%)であり、次いで那覇市7,288円、富山市7,341円の順となっている。鳥肉の年間支出金額が10,000円以上の都市をみると、東日本では札幌市、秋田市、浦和市、千葉市、東京都区部、横浜市の6都市に過ぎない。しかし、静岡市以西では、津市、鳥取市、高知市、那覇市を除く24市に及び、特に大津市、京都市、大阪市、神戸市、奈良市の5都市は、支出金額が12,400円から14,400円の間に分布しており、鳥肉に対する嗜好が極めて高い。最も支出金額が多い大津市に比べ、一番少ない前橋市の水準は45%と半分以下であり、鳥肉の需要にも西高東低が読み取れる。
(3)
食肉の購入先
牛肉、豚肉の購入先の1位はス−パ−
 (財)東京都生活衛生指導営業指導センタ−の「環衛業に係る消費生活調査報告書」(平成8年度)によるアンケ−ト調査の回答(一つのみ回答)では、牛肉の購入先の1位 はス−パ−で47%、2位が生活協同組合30%、3位が食肉販売店14%となっている。  豚肉は1位がス−パ−で49%と過半を占め、2位が生活協同組合で35%、3位 が食肉販売店でわずかに8%に過ぎない。牛肉に比べ食肉販売店の利用が少ないのと、生活協同組合の割合が高いのが目立っている。豚肉は牛肉と異なり、専門店もス−パ−も品質面 で大差なしとの評価がうかがわれる。また、豚肉は牛肉に比べ生活協同組合を選択する割合が高いのは、「産直・安全・安い・宅配」など消費者のニ−ズに対応しているためと思われる。
食肉販売店を選択する理由は「はかり売り」と「希望に従ってくれる」
 食肉販売店を選択する理由は、1位が「希望に従ってくれる」が、31%、2位 が「はかり売り」が29%、3位が「品物が豊富」24%、4位が「新鮮」20%となっている。専門店の魅力は、少数家族化で"好きな量 が買える"ことが魅力となっているようである。ただし、対面販売が中心の専門店であるのに「専門的に説明してくれる」が7%、「推奨してくれる」が6%と少なく、最近では消費者が専門店やス−パ−の売場のPRなどで、生鮮肉の知識が豊富になってきたことが一因として指摘されよう。
ス−パ−を選択する理由は「気がねなく選べる」が1位
 ス−パ−を選択する理由は、1位が「気がねなく選べる」が54%、2位 が「他の物とまとめて買える」が51%、3位が「パック売り」27%、4位 が「足の便が良い」24%」、5位が「品物を見ながらメニュ−が考えられる」22%となっている。しかし、「安い、閉店間際に値引きがある」10%、「品物が豊富」15%などの選択理由の割合は低く、どちらかというと、わずらわしくなく、しかもワンストップショッピングをス−パ−選択の基準にしているといえよう。専門店は店員との関係がわずらわしく感じられているためと思われる。
意外、産地表示や銘柄には「あまりこだわらない」消費者
 松坂牛、近江牛などの銘柄や産地表示をよく見て買うかの回答(1つのみ回答)は、「あまりこだわらない」が1位 で45%、次いで「こだわる」が32%、3位「こだわらない」が15%、4位 「全然気にしない」5%となっており、1、3、4位を合計すると65%となり、意外と特定産地や銘柄にこだわらない結果 となっている。
販売の用に供し、または営業上使用する食品等を輸入しようとする者は、厚生労働大臣に届出しなければならない。
人気がない輸入肉
 輸入肉は「あまり購入しない」が54%で最も多く、次いで「あまり関心がない」が38%、原産国の表示に注意して購入するが15%となっている。安全面 、衛生面で、依然として消費者は輸入肉になじめていないようである。
(4) 鳥肉を購入する際の消費者の判断基準
購入する際、最も重視するのは「加工年月日」
 「店頭でとり肉を購入するとして、どのような表示を重視しますか」とのアンケ−トの回答(重複回答)でみると、1位 は「加工年月日」57%、2位は「部位」54%、3位は「消費期限」49%、4位 「原産国名」40%となっている。意外なのは、当然1位と予想された「消費期限」が3位 になっていることであるが、これは消費者の購買行動が「加工年月日」により新鮮さと安心度を判断し、さらに用途に応じた「部位 」を選択することが優先されているためと思われる。
銘柄鳥
(ア)  「店頭でとり肉を購入するとして、どのような表示を重視しますか」とのアンケ−トの回答(重複回答)でみると、1位 は「加工年月日」57%、2位は「部位」54%、3位は「消費期限」49%、4位 「原産国名」40%となっている。意外なのは、当然1位と予想された「消費期限」が3位 になっていることであるが、これは消費者の購買行動が「加工年月日」により新鮮さと安心度を判断し、さらに用途に応じた「部位 」を選択することが優先されているためと思われる。
(イ)  「銘柄表示の信頼性についてはどのようにお考えですか」の回答(重複回答)を無条件に「信用できる」は15%と僅少な割合になっており、信頼できるという1位 から4位までの回答は、次に示すようにいずれも条件付きの回答になっている。
 1位は「生産地等の詳しい説明があれば信用できる」、2位は「とり肉専門店なら信用できる」、3位 は「いつも利用している店なら信用できる」、4位は「知っている産地なら信用できる」となっている。特に、女性の回答では1位 の「生産地等の詳しい説明があれば信用できる」割合が突出しており、2位 から4位をみても、とり肉を買う場合、消費者が細かいところに神経を使っており、販売面 で十分に配慮すべき点である。
輸入とり肉
 同調査による「輸入とり肉にどのようなお考えをお持ちですか」の回答(一つのみ回答)をみると、最も多いのは「外国産のとり肉は食べたくない」が43%、次いで「安全性に不平、不満がある」が23%となっている。輸入とり肉については「食べたくない」と「安全性に不平、不満」の両者のみで全体の66%になって達しており、特に女性層はこの両者の割合が76%に達している。輸入とり肉の販売に際しては、消費者に対して不安を取り払わせる工夫が必要である。 〔以上、鳥肉業界については、(財)東京都生活衛生営業センタ−「環境業に係わる消費生活実態調査報告書」(平成11年度)を参照〕
3 経営上の問題点
(1)
消費者側からみた販売面における問題点
  (財)東京都生活衛生営業センタ−「環境業に係わる消費生活実態調査報告書」(平成8年度)のアンケ−トの食肉販売店に望むもの(複数回答)を、消費者側からみた経営上問題点として取り上げてみよう。まず第1に「店内や陳列を清潔に」が66%で圧倒的に多い。2位 は「品揃えの充実」で40%、3位は「料理、保存方法等の情報の提供」が25%、4位 「部位と料理方法の表示」21%、5位「部位の表示」となっている。これらの中で1位 から3位までは専門店として基本的な経営上の問題点であり、今後、積極的な改善が望まれる。
(2)
悩みは大企業の進出による競争の激化
  国民生活金融公庫環衛企画部の「生活関連企業の景気動向等調査」によるアンケ−トの回答(複数回答)によると、経営上の問題点の1位 は「大企業の進出による競争の激化」で、毎四半期ごとの調査で15業種の中で突出して数値を示している。2位 は「客単価の低下、値上げ難」で44%、3位は「利用者の好みの変化」23%となっており、4位 は「新規参入者の増加」が9%となっている。  食肉小売業(食鳥肉を含まず)と卵、食鳥肉小売業に分けた統計は、現状では平成9年が最新となるが、内訳別 に事業所数の推移をみると、食肉小売業(食鳥肉を含まず)が17,859店(構成比84.9%)で、ピ−クの昭和54年36,136店に比べ半減の水準となっている。
 大企業の進出による競争の激化は、大店法の改正に伴う大型店の進出ラッシュと、産地の食肉センタ−の整備が促進され、産地処理の拡充により、枝肉、部分肉の流通 が進み、大中規模ス−パ−、生活協同組合などの食肉販売部門を一段と強化したことなどが主因となり、小規模な食肉小売店の経営に大きな打撃を与えている。いずれにしても大小企業の新規参入により、今後一層、激しい競争が中小規模の食肉専門店を巻き込んで展開されことが予想される。
4 繁盛店の事例
☆ 味が何よりも優先、小規模店の利点生かす
 
  • 立地:栃木県、住宅地
  • 経営者:男性 ・従業者:2人(うちパ−トなし)
  • 創業:昭和41年
  • 経営理念:「他店に無いおいしいものを付加価値を付けて売り、お客さまに喜んでもらう」
 当店では、消費者のニ−ズが個性化、高級化しているのに着目し、「おいしいものは高くても売れる」時代を察知し、高級品主体に商品構成を変えたところ、安売り店を目標にした顧客が減少した半面 、口コミにより遠方からの客が増え、また柔らかい良質の精肉を求める中高年者の来店が増えている。他店との差別 化を図るための具体的な方策を次でみてみよう。
@ 原材料の厳選
 原料肉は経営者自らが生産地や市場で自分の目で確かめ厳選し、直接仕入れている。さらに、食肉は屠殺後1ヵ月半にわたり、厳重な温度管理の下に冷蔵庫内で成熟したものを使う。また、じゃがいもは採取場所を選定、採れた時期に1年分を仕入れ、厳重な温度管理の下に冷蔵庫内で熟成させて保管し、1年かけて使っていくようにしている。在庫管理はコンピュ−タ−を用いている。
A 新製品の考案
 他店にない、あるいは作れない加工品を自ら工夫して製造している。自家製ハム、ソ−セ−ジ、レバ−コロッケ、おから入りコロッケなど安い材料を加工し、付加価値を付けることに主眼をおいている。 新製品考案の参考にするため、年に3〜6回は海外に2週間程度出張し、国内に文献もなく、指導者もいないので海外にヒントを求めている。総菜に使うスパイスは特注のドイツ製のものを使い、コショウも特注して製造させているものを使っている。添加する物は自然に近いものとするため、塩は天然あら塩を1〜2週間天日で干し、まろやかな味にしてから用いている。また砂糖は「わじろ」を使っている。

 

資料

  1. 経済産業省「商業統計調査」
  2. 総務省「事業所・企業統計調査」
  3. 総務省「家計調査年報」
  4. (財)東京都生活衛生営業指導センター「環衛業に係る消費生活調査報告書(平成8年度)」
  5. 全国生活衛生営業指導センタ−「成功事例調査」
  6. 金融財政事情「企業審査事典」
  7. 中央法規「生活衛生関係営業ハンドブック2001−生活衛生関係営業資料−」
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