食肉・食鳥肉販売業-2003年
1 概況
2003年
(1)
競合激化の食肉小売店
  食肉専門小売店は、いわゆる生鮮3品専門小売店の一角を占め、野菜、鮮魚専門小売店と並び、家庭料理の素材を提供するもので、主婦の買物にもっとも密着した専門店である。
 戦後、食の洋風化や日本経済の成長に伴う所得水準の高まりから、消費生活の高度化が進み、食肉消費量 は従来の豚肉に加えて牛肉の消費が急速に拡大した。特に豚肉の消費が主体であった地方にも牛肉の消費が普及していったため、食肉専門小売店は全国的に増加していった。
  ところが、流通機構の改善を背景としたス−パ−など大型店の増加、一方では共稼ぎ世帯の増加に伴い、主婦の生鮮3品を用いた料理機会の後退や、外食産業の発展による外食の増加などから食肉の消費量 が後退し、食肉購買量は減少していった。
 また、主婦の買物行動も、日・祭日にス−パ−で生鮮3品までを含めたワンストップショッピングによるまとめ買いに変化していったため、大型小売店と生鮮3品の専門小売店との間で業態間競争が激化し、旧来型の食肉小売店は、厳しい経営環境に置かれ、淘汰と経営合理化の時代を迎えている。
(2)
下げ止まりの食肉小売業者数
  平成13年の全国の食肉小売業(卵・食鳥肉小売を含む)の事業所数は19,167店で、11年に比べ0.1%増となリ、3年以降は2桁台の減少率で推移していたが、13年に下げ止まりに転じている。
(3) 大幅に減少する小規模店、半面、増勢に転じた5〜19人規模層
  事業所数を従業者規模別の増減数でみると、13年は11年に比べ、わずか15店(0.1%増)の増加に過ぎない。しかし、19人以下の各層は浮沈の変動をたどっている。全体の75%を占める4人以下は、8年対11年比では3,668店減少(19.8%減)したが、13年は11年に比べ367店減少(2.5%減)と減少数が大幅に少なくなっている。一方、5〜9人も11年は726店減少(18.7%減)だったが、13年には190店増加(6.0%増)に、10〜19人も11年158店減少(16.2%減)から13年には168店増加(20.6%増)と、両規模層は増勢に転じている。
 ところで、4人以下の減少数と5〜19人層の増加数がほぼ同じであるが、4人以下の企業の多くが上位 規模にシフトしたのではなく、小零細企業の多くが競争激化で市場から退出の半面 、より規模大の企業が新規に参入し、5〜19人層が増えたものとみられる。
事業所数の推移
(単位:店,%)
調査年 従業者規模別 合計
1〜4人 5〜9人 10人以上 19人以上
平成8年 〈78.2〉
18,540
〈16.4〉
3,878
〈 4,1〉
973
〈 1.3〉
311
〈100.0〉
23,702
平成11年 〈77.6〉
14,872
〈16.5〉
3,152
〈 4.3〉
815
〈1.6〉
313
〈100.0〉
19,152
平成13年 〈75.7〉
14,505
〈17.4〉
3,342
〈 5.1〉
983
〈 1.8〉
337
〈100.0〉
19,167
資料:総務庁「事業所・企業統計調査」
(注)〈  〉内は構成比である。  
2 最近の食肉の消費動向
(1)
落ち込み目立つ食肉消費需要
 総務省「家計調査年報」によると、平成14年における牛肉の1世帯あたり年間の支出金額は20,076円で、前年に比べ5.0%減となっている。牛肉の支出は、12年に26,140円だったものが、13年には21,128円(前年比19.2%減)と急激に支出水準が下がり、14年も低水準で推移している。
  牛肉は、昭和56年に豚肉の支出金額を追い抜き、それ以降、生活水準の向上と輸入自由化により消費の増加がみられ、右上がりの増勢トレンドをたどったが、平成3年36,779円をピ−クに傾向的に下降をたどっている。牛海綿状脳症(BSE)発見の厚生大臣の発表が平成13年11月21日であり、それ以前から牛肉支出が長い期間にわたって減少していることは、消費者の購買態度、嗜好に大きな変化が生じているといえよう。
 平成14年の豚肉の支出金額は23,270円で、前年に比べ5.1%増と牛肉と対照的な動きとなっている。
  豚肉の支出は、5〜6年間は傾向的に後退し、その後の2年間は増え、再度5〜6年間後退し続けるという固有の循環変動のパタ−ンが見られる。もし、このパタ−ンが今後も継続するとすれば、平成12年は後退局面 の3年目に当たり、豚肉の支出は16年前後まで引き続き減少をたどることになる。しかし、13年は前年比で2.7%増、14年も5.1%増と過去のきれいな支出循環が崩れている。牛肉の支出が13年、14年と支出水準を低めている半面 、この間、豚肉の支出がサイクルに反して増加しているのは、豚肉が牛肉の代替需要として役割を果 たしていたという見方も出来る。
  平成14年の鶏肉支出金額は、11,405円で前年比5.6%となっている。
 鶏肉支出にも豚肉同様の循環パタ−ンが見られるが、後退局面は4〜5年で豚肉支出よりやや短く、その後の増加局面 は2年で豚肉と同じである。13年は、下降4年目であり14年には増勢に転じており、ほぼ過去の循環パタ−ンを踏襲している。
  ただし、支出水準は昭和57年の15,111円を頂点にして、昭和63年12,230円と12,000円台へ、さらに5年には11,800円の11,000円台へと、支出水準が低下し、縮小循環になっている。
(2)
都市別格差が著しい食肉支出
  平成14年の1世帯当たりの種類別年間消費支出(総務省「家計調査年報」)を都市別 にみると次のとおりになっている。
牛肉
 支出が多い順にみると、和歌山市が44,341円、次いで大津市37,168円、京都市35,759円と続き、和歌山市は全国平均の2.2倍と多い。少ない順では長野市7,125円、次に前橋市7,648円、福島市8,091円、水戸市8,423円、札幌市8,572円となっている。これらの都市の支出は、全国平均の35%から42%台に過ぎず、また最多支出の和歌山市の約5分の1弱に過ぎない。   牛肉の支出は、概して東日本の北海道、東北、北関東、信越などの都市で支出が少なく、一方、西日本では、津市、大津市を境に大分市までの地域に支出の多い都市が分布している。牛肉の支出は、西高東低が鮮明に色分けされているうえ、都市間の支出格差が著しい。
豚肉
 支出の多い順に横浜市26,175円、静岡市26,054円、千葉市25,564円なり、少ない順では山口市15,492円、北九州市17,622円、高松市17,920円となっている。最多支出の横浜市は、全国平均の1.1倍、最少支出の山口市は67%であり、最多の横浜市に対して最小の山口市は3分の2の水準であり、豚肉は牛肉と異なり都市間格差は少ないものの、総じて東高西低の傾向にある。
鳥肉
  最も支出金額が多いのは、大津市で16,220円、福岡市15,332円、宮崎市15,205円の順となっている。少ない順では、前橋市6,203円、長野市7,476円、富山市7,858円となっている。鶏肉の年間支出金額が10,000円以上の都市をみると、東日本では秋田市、さいたま市、千葉市、東京都区部、横浜市、川崎市の6都市に過ぎない。しかし、静岡市以西では、那覇市を除く27市に及び、特に大津市、京都市、大阪市、神戸市、和歌山市の5都市は、支出金額が13,000円台から16,000円台と全国平均11,405円を上回る都市が分布している。また、九州でも8都市のうち長崎市以外が13,000円台から15,000円台の支出に集中しており、関西、九州では鶏肉に対する嗜好が極めて高い。最も支出金額が多い大津市に比べ、一番少ない前橋市は38%の水準に過ぎず、鶏肉の需要には西高東低が読み取れる。
(3)
食肉の購入先
 牛肉、豚肉の購入先の1位はス−パ−
  牛肉、豚肉の購入先の1位はス−パ−   (財)東京都生活衛生指導営業指導センタ−の「環衛業に係る消費生活調査報告書」(平成8年度)によるアンケ−ト調査の回答(一つのみ回答)では、牛肉の購入先は1位 はス−パ−で47%、2位が生活協同組合30%、3位が食肉販売店14%となっている。
 豚肉は、1位がス−パ−で49%と過半を占め、2位が生活協同組合で35%、3位 が食肉販売店でわずかに8%に過ぎない。牛肉に比べ食肉販売店の利用が少ないのと、生活協同組合の割合が高いのが目立っている。豚肉が牛肉に比べ生活協同組合を選択する割合が高いのは、「産直・安全・安い・宅配」など消費者のニ−ズに対応しているためと思われる。
 (注)食肉に関する「環衛業に係る消費生活調査」は、平成8年度以降行われていない。
 食肉販売店を選択する理由は「はかり売り」と「希望に従ってくれる」
    食肉販売店を選択する理由(複数回答)は、1位 が「希望に従ってくれる」が31%、2位が「はかり売り」が29%、3位 が「品物が豊富」24%、4位が「新鮮」20%となっている。専門店の魅力は、小家族化で“好きな量 が買える”ことが魅力となっているようである。ただし、対面販売が中心の専門店であるのに「専門的に説明してくれる」が7%、「推奨してくれる」が6%と少ないのは、専門店やス−パ−の売場のPRなどで、消費者の生鮮肉の知識が豊富になってきたことが一因として指摘されよう。
ス−パ−を選択する理由は「気がねなく選べる」が1位
   ス−パ−を選択する理由は、1位が「気がねなく選べる」が54%、2位 が「他の物とまとめて買える」が51%、3位が「パック売り」27%、4位 が「足の便が良い」24%」、5位が「品物を見ながらメニュ−が考えられる」22%となっている。しかし、「安い、閉店間際に値引きがある」10%、「品物が豊富」15%などの選択理由の割合は低く、どちらかというと、わずらわしくなく、しかもワンストップショッピングをス−パ−選択の基準にしているといえよう。専門店は店員との関係がわずらわしく感じられているためと思われる。
意外、産地表示や銘柄には「あまりこだわらない」消費者
   松坂牛、近江牛などの銘柄や産地表示をよく見て買うかの回答(1つのみ回答)は、「あまりこだわらない」が1位 で45%、次いで「こだわる」が32%、3位「こだわらない」が15%、4位 「全然気にしない」5%となっており、1、3、4位を合計すると65%となり、意外と特定産地や銘柄にこだわらない結果 となっている。
人気がない輸入肉
  輸入肉は「あまり購入しない」が54%で最も多く、次いで「あまり関心がない」が38%、原産国の表示に注意して購入するが15%となっている。安全面 、衛生面で、依然として消費者は輸入肉になじめていないようである。
(4)
鳥肉を購入する際の消費者の判断基準
鳥肉業界について、(財)東京都生活衛生営業センタ−「環衛業に係わる消費生活実態調査報告書」(平成11年度)により、鳥肉を購入する際の消費者の判断基準をみると、次のような特性が見られる。
購入する際、最も重視するのは「加工年月日」
 「店頭で鳥肉を購入するとして、どのような表示を重視しますか」とのアンケ−トの回答(複数回答)でみると、1位 は「加工年月日」57%、2位は「部位」54%、3位は「消費期限」49%、4位 「原産国名」40%となっている。意外なのは、当然1位と予想された「消費期限」が3位 になっていることであるが、これは消費者の購買行動が「加工年月日」により新鮮さと安心度を判断し、さらに用途に応じた「部位 」を選択することが優先されているためと思われる。
銘柄鳥
  (ア) 人気が高まる銘柄鳥、評価されるおいしさ、品質の良さ
    全国展開の大手スーパーで、独自の銘柄鳥を扱う動きが弾みとなって、銘柄鳥の大衆化が急速に進んでいる。ブロイラー中心の単一チキン文化から、地鶏・銘柄鳥へと、好みが多様化してきている。銘柄鳥の代表としては、名古屋コーチン、三河どり、あか鳥、一風変わったところではハーブチキンなどがある。
 「○○地鳥、○○鳥などと銘柄等表示のある鳥肉についてどのような感じをおもちですか」というアンケ−トの回答(複数回答)をみると、男性、女性とも1位 が「おいしい」、2位が「品質が良い」になっており、この2つは定着している。女性の3位 は「購入選択の基準になる」となっており、銘柄等表示を鳥肉購買時の品質、価格の評価の目安にしている。ただし、男性、女性とも、4位 に「価格が高い」ことを指摘している。
  (イ) 銘柄鳥は信頼性が大事
    続けて「銘柄表示の信頼性についてはどのようにお考えですか」の回答(複数回答)では信頼できるという1位 から4位までは、次に示すようにいずれも条件付き回答になっている。1位 は「生産地等の詳しい説明があれば信用できる」、2位は「鳥肉専門店なら信用できる」、3位 は「いつも利用している店なら信用できる」、4位は「知っている産地なら信用できる」となっている。 特に、女性の回答では、1位の「生産地等の詳しい説明があれば信用できる」割合が突出しており、2位 から4位をみても、鳥肉を買う場合、消費者が細かいところに神経を使っている。無条件に「信用できる」は15%と僅少であり、これらの回答内容は販売面 で十分に配慮すべきある。
輸入鳥肉
   同調査による「輸入鳥肉にどのようなお考えをお持ちですか」の回答(一つのみ回答)をみると、最も多いのは「外国産の鳥肉は食べたくない」が43%、次いで「安全性に不平、不満がある」が23%となっている。輸入鳥肉については「食べたくない」と「安全性に不平、不満」の両者のみで全体の66%に達しており、特に女性層はこの両者の割合が76%に及んでいる。輸入鳥肉の販売に際しては、消費者に対して不安を取り払わせる工夫が必要である。
3 経営上の問題点
(1) 消費者側からみた販売面における問題点
    (財)東京都生活衛生営業センタ−「環衛業に係わる消費生活実態調査報告書」(平成8年度)のアンケ−トの食肉販売店に望むもの(複数回答)を、消費者側からみた経営上の問題点として取り上げてみよう。
  まず第1に「店内や陳列を清潔に」が66%で圧倒的に多い。2位 は「品揃えの充実」で40%、3位は「料理、保存方法等の情報の提供」が25%、4位 「部位と料理方法の表示」21%、5位「部位の表示」となっている。これらの中で、1位 から3位までは専門店として基本的な経営上の問題点であり、今後、積極的な改善が望まれる。
(2) 悩みは「客単価の低下」と「大企業の進出による競争の激化」
    国民生活金融公庫の「生活関連企業の景気動向等調査」の調査結果 (平成15年7〜9月期、複数回答)によると、食肉・食鳥肉販売業の経営上の問題点の1位 は「客単価の低下」40.8%、2位は「大企業の進出による競争の激化」38.8%、3位 は「値上げ難」29.1%、4位が「利用者の好みの変化」17.9%となっている。平成12年には、毎四半期ごとの調査で「大企業の進出による競争の激化」が、調査対象15業種の中で突出した数値を示していたが、平成13年では「客単価の低下」が1位 になるなど、最近の調査結果では「客単価の低下」が高い割合を示している。
4 工夫している事例
(1)
企業概況
  • 東京都目黒区
  • 目黒食肉組合
  • 共同事業開始 :昭和53年
  • 経営理念   :「いつか自分たちの時代がやって来る」
(2)
目黒区の食肉小売店34店が産地直送の豚肉を販売
組合の共同事業として豚肉仕入れを企画
目黒区内の食肉小売業者数人は、創業50年の長い業歴をもつ食肉小売店の店主 浦部三十三さんを中心に、今から25年前、産地直送の豚肉仕入れを組合の共同事業として発足させようと、区内にあった食肉小売店165軒を訪ねて説得して歩いた。当時、共同事業は大半が失敗するのが当たり前との見方が強かった。一国一城の主である中小企業者が共同化することに危惧の念を持つ専門家が少なくなかった。目黒区内の食肉小売業者の場合もご多分にもれなかった。これまで取引してきた食肉問屋の手前もある。共同事業はきれいごとに過ぎない。本当にうまくやれるのかなど、共同事業を疑問視する同業者から反対の火の手があがった。発足までは苦労の連続であった。第一、どこで良い豚肉が生産されているのかもわからなかった。しかし、乗り出した船、安全でおいしい豚肉を地元の消費者に提供したいという熱意に「いつか自分たちの時代がやって来る」という信念の下に行動を起こした。
全国行脚の末、とうとう最良質の豚肉を発見
浦部三十三さんと発起人達は全国の生産者を訪ね歩いた。ある日、茨城県の養豚業者を訪ねたとき、目をうならせる豚肉に出くわした。茨城県銘柄豚振興会が7世代にわたり選別 した系統豚を大麦飼料で育成した豚(ローズポーク)である。飼育技術に優れた生産者や飼料を吟味に吟味を重ねて探した揚げ句のおいしさと安全性を追求した逸品であった。それだけに、生産者側は販売店についても厳選した。Uさんや発起人たちは、生産している生産者と直接接し、人柄がわかって初めて肉の品質が保証されることを思い知らされた。つまり、生産者の顔が見える商品である。なぜなら問屋で枝肉として並んでいて、生産者がわからない肉よりも大きな信頼を寄せることができるからである。
安全で高品質の豚肉を安定供給
ロ−ズポ−クの産地直送事業は、25年前の発足当時から消費者対策事業として、目黒区の助成を受けている。助成があるため、消費者は本来の価格の3割引で購入できる。事業の目的はス−パ−など大型店の競争に巻き込まれず、消費者のためになる安全で高品質の肉を提供することである。25年前の方針がいまだに守られている。ロ−ズポ−クは、食肉業界が主催する2002年の食肉産業展で銘柄ポ−ク好感度コンテストの最優秀賞を受賞しただけのことがあり、目黒区内の消費者の評判は極めて良い。
最も注目されるのは持続力
目黒区の共同事業のうち、最も注目されるのは持続力である。東京23区のほとんどが消費者対策として産地直送事業に取り組んだが、現在まで続いている例はあまりない。現在では、目黒区内で50店まで減ってしまった食肉小売専門店のうち34店が共同事業に参画しロ−ズポ−クを取り扱っている。
「カレ−もやっぱり目黒に限る」
14年暮れから、ロ−ズポ−ク発売25周年記念事業として「めぐろ限定・目黒食肉組合店のポ−クカレ−」を開発し、販売を行っている。レトルトカレ−で1個300円である。このカレ−のコピ−がおもしろい。目黒は落語の「目黒のさんま」で有名である。それをもじって、「サンマは目黒、カレ−もやっぱり目黒に限る」として売り込んでいる。地域のカレ−として評判が評判を呼び、全国の消費者や小売店から購入の申込みが舞い込んでくる。今では、毎月約1800食の売上げがある。最近は大手ス−パ−からの引合いもあり、近く販売に踏み切る。
地域密着、消費者の見学会を実施
消費者にロ−ズポ−クの理解を深めてもらうため、年一回、茨城県の生産者を訪ねる見学会が行っている。定員100人に対して5〜6倍の申込みがあるほどの人気である。現地では、生産者からロ−ズポ−クに使う飼料や豚の飼育状態などの説明を受ける。
(3) 攻めの商売が勝ちを呼ぶ
共同事業は、参加店の売上げが伸びたり、消費者の良い反響があったりなどの効果 が上がらないと団結するのは難しい。東京都食肉生活衛生同業組合の芹田光司目黒支部長は、浦田さんをはじめとする共同事業参加店について、「常に攻めの商売をしていかなければならない。守りに入ったら負け。それには、日々勉強して“勝ち組みで行く”という姿勢が大切。われわれは勝ち組みといえる」と高く評価している。浦部さんが「いつか自分たちの時代がやって来る」という信念で発足した産直事業は、25年立ったいま、まさにその時代を迎えているのである。商売には、何事も信じ、常に明確な目標をもって行動することが極めて大事なことを実践の中で教えてくれている。(全国生活衛生営業指導センタ−「生衛ジャ−ナル」2003年5月号参照、加筆)

 

資料

  1. 経済産業省「商業統計調査」
  2. 総務省「事業所・企業統計調査」
  3. 総務省「家計調査年報」
  4. (財)東京都生活衛生営業指導センター「環衛業に係る消費生活調査報告書」平成8年度
  5. 金融財政事情「企業審査事典」
  6. 国民生活金融公庫「生活関連企業の景気動向等調査」 
  7. 中央法規「生活衛生関係営業ハンドブック2003」 
  8. 全国生活衛生営業指導センタ−「生衛ジャ−ナル」2003年5月号
× 閉じる