(1)
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落ち込み目立つ食肉消費需要 |
ア |
総務省「家計調査年報」によると、平成14年における牛肉の1世帯あたり年間の支出金額は20,076円で、前年に比べ5.0%減となっている。牛肉の支出は、12年に26,140円だったものが、13年には21,128円(前年比19.2%減)と急激に支出水準が下がり、14年も低水準で推移している。
牛肉は、昭和56年に豚肉の支出金額を追い抜き、それ以降、生活水準の向上と輸入自由化により消費の増加がみられ、右上がりの増勢トレンドをたどったが、平成3年36,779円をピ−クに傾向的に下降をたどっている。牛海綿状脳症(BSE)発見の厚生大臣の発表が平成13年11月21日であり、それ以前から牛肉支出が長い期間にわたって減少していることは、消費者の購買態度、嗜好に大きな変化が生じているといえよう。 |
イ |
平成14年の豚肉の支出金額は23,270円で、前年に比べ5.1%増と牛肉と対照的な動きとなっている。
豚肉の支出は、5〜6年間は傾向的に後退し、その後の2年間は増え、再度5〜6年間後退し続けるという固有の循環変動のパタ−ンが見られる。もし、このパタ−ンが今後も継続するとすれば、平成12年は後退局面
の3年目に当たり、豚肉の支出は16年前後まで引き続き減少をたどることになる。しかし、13年は前年比で2.7%増、14年も5.1%増と過去のきれいな支出循環が崩れている。牛肉の支出が13年、14年と支出水準を低めている半面
、この間、豚肉の支出がサイクルに反して増加しているのは、豚肉が牛肉の代替需要として役割を果
たしていたという見方も出来る。 |
ウ |
平成14年の鶏肉支出金額は、11,405円で前年比5.6%となっている。
鶏肉支出にも豚肉同様の循環パタ−ンが見られるが、後退局面は4〜5年で豚肉支出よりやや短く、その後の増加局面
は2年で豚肉と同じである。13年は、下降4年目であり14年には増勢に転じており、ほぼ過去の循環パタ−ンを踏襲している。
ただし、支出水準は昭和57年の15,111円を頂点にして、昭和63年12,230円と12,000円台へ、さらに5年には11,800円の11,000円台へと、支出水準が低下し、縮小循環になっている。 |
(2)
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都市別格差が著しい食肉支出 |
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平成14年の1世帯当たりの種類別年間消費支出(総務省「家計調査年報」)を都市別
にみると次のとおりになっている。 |
ア |
牛肉 |
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支出が多い順にみると、和歌山市が44,341円、次いで大津市37,168円、京都市35,759円と続き、和歌山市は全国平均の2.2倍と多い。少ない順では長野市7,125円、次に前橋市7,648円、福島市8,091円、水戸市8,423円、札幌市8,572円となっている。これらの都市の支出は、全国平均の35%から42%台に過ぎず、また最多支出の和歌山市の約5分の1弱に過ぎない。
牛肉の支出は、概して東日本の北海道、東北、北関東、信越などの都市で支出が少なく、一方、西日本では、津市、大津市を境に大分市までの地域に支出の多い都市が分布している。牛肉の支出は、西高東低が鮮明に色分けされているうえ、都市間の支出格差が著しい。 |
イ |
豚肉 |
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支出の多い順に横浜市26,175円、静岡市26,054円、千葉市25,564円なり、少ない順では山口市15,492円、北九州市17,622円、高松市17,920円となっている。最多支出の横浜市は、全国平均の1.1倍、最少支出の山口市は67%であり、最多の横浜市に対して最小の山口市は3分の2の水準であり、豚肉は牛肉と異なり都市間格差は少ないものの、総じて東高西低の傾向にある。 |
ウ |
鳥肉 |
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最も支出金額が多いのは、大津市で16,220円、福岡市15,332円、宮崎市15,205円の順となっている。少ない順では、前橋市6,203円、長野市7,476円、富山市7,858円となっている。鶏肉の年間支出金額が10,000円以上の都市をみると、東日本では秋田市、さいたま市、千葉市、東京都区部、横浜市、川崎市の6都市に過ぎない。しかし、静岡市以西では、那覇市を除く27市に及び、特に大津市、京都市、大阪市、神戸市、和歌山市の5都市は、支出金額が13,000円台から16,000円台と全国平均11,405円を上回る都市が分布している。また、九州でも8都市のうち長崎市以外が13,000円台から15,000円台の支出に集中しており、関西、九州では鶏肉に対する嗜好が極めて高い。最も支出金額が多い大津市に比べ、一番少ない前橋市は38%の水準に過ぎず、鶏肉の需要には西高東低が読み取れる。
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(3)
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食肉の購入先 |
ア |
牛肉、豚肉の購入先の1位はス−パ− |
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牛肉、豚肉の購入先の1位はス−パ−
(財)東京都生活衛生指導営業指導センタ−の「環衛業に係る消費生活調査報告書」(平成8年度)によるアンケ−ト調査の回答(一つのみ回答)では、牛肉の購入先は1位
はス−パ−で47%、2位が生活協同組合30%、3位が食肉販売店14%となっている。
豚肉は、1位がス−パ−で49%と過半を占め、2位が生活協同組合で35%、3位
が食肉販売店でわずかに8%に過ぎない。牛肉に比べ食肉販売店の利用が少ないのと、生活協同組合の割合が高いのが目立っている。豚肉が牛肉に比べ生活協同組合を選択する割合が高いのは、「産直・安全・安い・宅配」など消費者のニ−ズに対応しているためと思われる。
(注)食肉に関する「環衛業に係る消費生活調査」は、平成8年度以降行われていない。 |
イ |
食肉販売店を選択する理由は「はかり売り」と「希望に従ってくれる」
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食肉販売店を選択する理由(複数回答)は、1位
が「希望に従ってくれる」が31%、2位が「はかり売り」が29%、3位
が「品物が豊富」24%、4位が「新鮮」20%となっている。専門店の魅力は、小家族化で“好きな量
が買える”ことが魅力となっているようである。ただし、対面販売が中心の専門店であるのに「専門的に説明してくれる」が7%、「推奨してくれる」が6%と少ないのは、専門店やス−パ−の売場のPRなどで、消費者の生鮮肉の知識が豊富になってきたことが一因として指摘されよう。 |
ウ |
ス−パ−を選択する理由は「気がねなく選べる」が1位
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ス−パ−を選択する理由は、1位が「気がねなく選べる」が54%、2位
が「他の物とまとめて買える」が51%、3位が「パック売り」27%、4位
が「足の便が良い」24%」、5位が「品物を見ながらメニュ−が考えられる」22%となっている。しかし、「安い、閉店間際に値引きがある」10%、「品物が豊富」15%などの選択理由の割合は低く、どちらかというと、わずらわしくなく、しかもワンストップショッピングをス−パ−選択の基準にしているといえよう。専門店は店員との関係がわずらわしく感じられているためと思われる。 |
エ |
意外、産地表示や銘柄には「あまりこだわらない」消費者 |
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松坂牛、近江牛などの銘柄や産地表示をよく見て買うかの回答(1つのみ回答)は、「あまりこだわらない」が1位
で45%、次いで「こだわる」が32%、3位「こだわらない」が15%、4位
「全然気にしない」5%となっており、1、3、4位を合計すると65%となり、意外と特定産地や銘柄にこだわらない結果
となっている。 |
オ |
人気がない輸入肉 |
輸入肉は「あまり購入しない」が54%で最も多く、次いで「あまり関心がない」が38%、原産国の表示に注意して購入するが15%となっている。安全面
、衛生面で、依然として消費者は輸入肉になじめていないようである。
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(4)
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鳥肉を購入する際の消費者の判断基準 |
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鳥肉業界について、(財)東京都生活衛生営業センタ−「環衛業に係わる消費生活実態調査報告書」(平成11年度)により、鳥肉を購入する際の消費者の判断基準をみると、次のような特性が見られる。 |
ア |
購入する際、最も重視するのは「加工年月日」 |
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「店頭で鳥肉を購入するとして、どのような表示を重視しますか」とのアンケ−トの回答(複数回答)でみると、1位
は「加工年月日」57%、2位は「部位」54%、3位は「消費期限」49%、4位
「原産国名」40%となっている。意外なのは、当然1位と予想された「消費期限」が3位
になっていることであるが、これは消費者の購買行動が「加工年月日」により新鮮さと安心度を判断し、さらに用途に応じた「部位
」を選択することが優先されているためと思われる。 |
イ |
銘柄鳥 |
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(ア) |
人気が高まる銘柄鳥、評価されるおいしさ、品質の良さ |
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全国展開の大手スーパーで、独自の銘柄鳥を扱う動きが弾みとなって、銘柄鳥の大衆化が急速に進んでいる。ブロイラー中心の単一チキン文化から、地鶏・銘柄鳥へと、好みが多様化してきている。銘柄鳥の代表としては、名古屋コーチン、三河どり、あか鳥、一風変わったところではハーブチキンなどがある。
「○○地鳥、○○鳥などと銘柄等表示のある鳥肉についてどのような感じをおもちですか」というアンケ−トの回答(複数回答)をみると、男性、女性とも1位
が「おいしい」、2位が「品質が良い」になっており、この2つは定着している。女性の3位
は「購入選択の基準になる」となっており、銘柄等表示を鳥肉購買時の品質、価格の評価の目安にしている。ただし、男性、女性とも、4位
に「価格が高い」ことを指摘している。 |
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(イ) |
銘柄鳥は信頼性が大事 |
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続けて「銘柄表示の信頼性についてはどのようにお考えですか」の回答(複数回答)では信頼できるという1位
から4位までは、次に示すようにいずれも条件付き回答になっている。1位
は「生産地等の詳しい説明があれば信用できる」、2位は「鳥肉専門店なら信用できる」、3位
は「いつも利用している店なら信用できる」、4位は「知っている産地なら信用できる」となっている。
特に、女性の回答では、1位の「生産地等の詳しい説明があれば信用できる」割合が突出しており、2位
から4位をみても、鳥肉を買う場合、消費者が細かいところに神経を使っている。無条件に「信用できる」は15%と僅少であり、これらの回答内容は販売面
で十分に配慮すべきある。 |
ウ |
輸入鳥肉 |
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同調査による「輸入鳥肉にどのようなお考えをお持ちですか」の回答(一つのみ回答)をみると、最も多いのは「外国産の鳥肉は食べたくない」が43%、次いで「安全性に不平、不満がある」が23%となっている。輸入鳥肉については「食べたくない」と「安全性に不平、不満」の両者のみで全体の66%に達しており、特に女性層はこの両者の割合が76%に及んでいる。輸入鳥肉の販売に際しては、消費者に対して不安を取り払わせる工夫が必要である。 |