喫茶店-2001年
1 概況
2001年
(1)
事業所数、従業者数とも一般飲食店全体の中で最大の減少率
 平成11年の全国の喫茶店の事業所数は94,251件で、8年と比べると7,686件減少、7.5%減(一般 飲食店全体2.9%減)となり、一般飲食店の他業種に比べ最大の減少幅となっている。昭和61年以降、減少に転じた事業所数は、ピ−ク時の昭和56年と平成11年と比べると、この18年間に60,376件が姿を消している。従業者数は331,349人で8年に比べ9.5%減(一般 飲食店全体0.3%増)と、これも一般飲食店全体の中で最大の減少率となっている。1事業所当たりの従業数は、3.5人で一般 飲食店全体の6.2人を2.7人も下回っている。
事業所数の推移 (参考) 一般飲食店全体
(単位:件,%) (単位:件,%)
調査年 従業者規模別 合 計
1〜 4人 5人以上
平成3年 (78.7)
99,327
(21.3)
26,927
(100.0)
126,254
平成6年 (81.1)
93,548
(18.9)
21,869
(100.0)
115,417
平成8年 (79.2)
80,732
(20.8)
21,205
(100.0)
101,937
平成11年 (80.1)
75,512
(19.9)
18,739
(100.0)
94,251
従業者 合 計
1〜4人
(69.1)
327,643
(100.0)
474,389
(70.0)
326,819
(100.0)
466,835
(77.7)
299,963
(100.0)
456,420
(73.8)
288,426
(100.0)
443,216
資料:総務省「事業所・企業統計調査」
(注)( )内は構成比である。
 平成8年から11年までの新設事業所数は11,143件で、一方、廃業事所数は18,377件と廃業事業所が新設事業所を7,234件も上回って推移している。開業率4.0%(一般 飲食店全体5.0%)、廃業率6.6%(同5.9%)となり、廃業率の方が高くなっている。
 平成11年の法・個人別事業所数は、個人が78,832件(構成比83.8%)、法人は15,971件(同16.2%)となり、一般 飲食店の各業種の中で個人の構成比が最も高い。8年に比べると法人が4.6%減に対して個人は8.1%減と法人に比べ減少率が高い。
 従業者規模別でみると、4人以下の小規模店が全体の80.1%となり、一飲食店全体の65.1%を大幅に上回っている。従業者規模別 に8年と比べた増減率でみると20〜29人と100人以上の規模を除き、いずれも減少している。なかでも4人以下6.5%減、5〜9人12.2%減、10〜19人4.9%減と19人以下の中小零細規模の減少が目立っている。
(2)
喫茶代支出額は2年連続減少、喫茶需要を支えるのは中高年層
 総務省「家計調査年報」によると、平成12年における喫茶店への1世帯当たりの年間支出額は5,517円で前年に比べ2.6%減(一般 外食2.0%減)となり、平成元年のピーク以降一進一退をたどっていたが、10年以降3年連続して減少している。これはセルフサ−ビス方式のチェ−ン店の定着や、新たなFCの参入などで低価格が進み、客単価が低下したことや、収入が伸び悩むサラリ−マンの支出が低下していることが影響していると思われる。 
 同調査による世帯主の年齢階級別の支出をみると、支出金額が最も多いのは60〜69歳で6,639円、40〜49歳5,760円、50〜59歳5,711円と続く。一方、支出が少ないのは29歳以下で3,316円、次いで30〜39歳4,572円となっている。これらからみて、喫茶需要は主に中高年齢層に支えられていることがわかる。ちなみに、60〜69歳世帯の支出は最若年世帯に比べ2倍の支出となっている。 
 (財)東京都環境衛生営業指導センタ−の「環衛業に係る消費生活調査報告書(平成7年度)」によると、コ−ヒ−や紅茶を飲む場所は、家庭が65.8%喫茶店41.7%、職場25.5%と、かつてはコ−ヒ−といえば喫茶店だったものが、いまや家庭がその中心となっている。
 同調査による都市別の支出額では、1位の岐阜市は17,089円で"喫茶店好き"と巷間で話題にされる名古屋市を追い抜いてトップに躍り出ている。2位 が名古屋市の12,861円で、3位は神戸市9,821円、4位高知市9,410円、5位 東京都区部8,609円となっている。岐阜市は全国平均5,517円の3倍、名古屋市は2倍で、岐阜、名古屋の両市では、喫茶店の社会的存在価値が依然として高く、市民が憩いの場としての愛着を感じていることがうかがえる。最少額は鹿児島市で2,417円、熊本市2,489円、青森市2,513円、宮崎市2,533円の順となっている。最少支出の鹿児島市は、全国平均の43%の水準であり、また岐阜市に比べ14%台の支出に過ぎず、都市毎の支出格差が著しい。
2 最近の動向
(1)
従来型純喫茶の存在感低下の一方、他業態との競争激化
 現在では、抽出器具の普及で家庭やオフィスでもおいしいコーヒーが味わえるようになった。また、缶 コーヒー、自動販売機の普及や最近ではオフィスコーヒー・サーバ−の浸透にもめざましいものがある。また、ファーストフード店やファミリーレストラン等が「喫茶」の役割を兼ね合わせるようになり、さらに新業態の大手喫茶店の台頭が著しく、純喫茶と呼ばれる従来からの専門店の分野への侵食が激しくなっている。このような傾向から、本格的なコーヒーは喫茶店で味わうものという社会通 念が後退した。さらに、車社会化に対応した駐車場の確保が困難なことや、喫茶店愛好家であるサラリ−マンがコ−ヒ−を飲みながらゆっくりとタバコをくゆらせる"休息、憩い、やすらぎ"の時間が取れる余裕がなくなり、従来型の純喫茶店が果 たしてきた役割、存在感が低下していることは否めない。
(2)
従来型純喫茶店に代わり、成長が著しい新業態の大手喫茶店
 外食産業の中で新業態の大手喫茶店の成長が著しい。最大手は東証1部上場へ昇格し、成長著しいドト−ルコ−ヒ−で首都圏中心に低価格コ−ヒ−ショップ展開し、ハワイにコ−ヒ−農場まで所有している。次いで珈緋館(マナベ)、ユ−シ−シ−フ−ドサ−ビスシステムズ、シャノア−ルなどが続く。異色なのはバッグ、生活雑貨等の卸・小売のサザビ−(店頭登録)である。紅茶が売り物の「アフタ−ヌ−ンティ−・ティ−ル−ム」で女性層の人気に支持されているがコ−ヒ−専門店にも進出、サザビ−の関連会社であるスタ−バックスコ−ヒ−店を、首都圏中心に大量 出店を展開中である。
 また、ファーストフードの草分け的な存在で最大の外食チェ−ンの日本マクドナルドなど異業種からの参入や、またベ−カリ−レストランの新業態を開発したサンマルク(店頭登録)では、レストランで人気の高い"焼たてのパン"を低価格のコ−ヒ−と同時に提供する異色のカフェ店の展開に意欲を燃やしている。その他、異業種からネット喫茶への進出のほか漫画喫茶に紳士服小売業のゴト−(店頭登録)が参入したり、今後は若者を狙って異色を売りものにした喫茶店の展開も増えそうである。
(3)
ひまつぶしに最適と若者に好評の漫画喫茶
 最近の漫画喫茶の施設は充実している。喫茶店というが、飲み物は、ドリンクバ−形式で何種類もの飲み物が飲み放題であり、すべてセルフサ−ビになっている。飲み物からみれば、異色の喫茶店である。従来型の喫茶店と異なる点はほかにもいろいろとある。まず、各部屋は一つ一つ個室形式になっている店が多い。各部屋にはテレビ、ビデオ、CD、ゲ−ム機が置いてある。極め付けは椅子がマサ−ジチェアになっていることである。漫画喫茶というが、本は漫画だけではない。小説や雑誌も備えてある。希望次第ではパソコンが設置してある部屋が使用でき、インタ−ネットが使い放題になっている。飲み物にこれだけ多くの種類のサ−ビスを付加して、料金は1時間当たり400円程度であるから格安だ。個室で好きな飲み物を飲み、そして好きな器材を使用し、あるいは本を読んだり、喫茶店というよりは、まさに"ひまつぶしの場所"の新業態といえる。いまや、若者の感覚は、ひまつぶしのためにパチンコに行くような気分で、漫画喫茶を選択している傾向がうかがわれる。
(4)
伸びるか異色の和・中国茶カフェ専門店
 喫茶店といえばコ−ヒ−が主力だが、最近は日本茶専門のカフェが東京、京都、大阪などの大都市で生まれ、中国茶専門カフェも誕生している。これは、「和」ブ−ムや健康志向への高まりの反映と思われるが、まだ数は少ないものの、静かなお茶カフェブ−ムの到来との見方もある。日本茶カフェでは、煎茶、玉 露、抹茶などを提供するが、従来の和風喫茶と異なるのは、新感覚をベ−スにした店づくりをしている店が多いのが特徴である。例えば、日本茶専門のカフェでは、内装は洋風にしてアメリカのカフェ風にしたり、器も日本古来のものを避けて現代美術風のオリジナルの器を用いたり、和風だがモダ−ンなデザインを施したり、日本古来のお茶の提供場所なのに現代風の雰囲気の演出を凝らしたりしている。
3 経営上の問題点
 国民生活金融公庫生衛企画部「生活関連企業の景気動向等調査」による喫茶店の経営上の問題点を見ると、最も多いのが「客単価の低下、値上げ難」、2位 は「利用者の好みの変化」、3位が「大企業の進出による競争の激化」、4位 は「新規参入業者の増加」となっている。この調査でみると、平成12年1〜3月期以降、次第「大企業の進出による競争の激化」が従来型喫茶店に一段と影を落していることが鮮明に表われている。問題点全体に占める「大企業の進出による競争の激化」の割合は、平成11年10〜12月期はわずか7%だったものが、12年1〜3月期には12%に増えている。その後、この割合は調査ごとに拡大し、13年1〜3月期には23%に上昇、11年10〜12月期7%の3倍強に達している。今後とも「大企業の進出による競争の激化」は拡大することが予想されるので、喫茶業界としては、影響力が大きい新たな問題に直面 しているといえる。
4 経営上のポイント
 昭和61年までの喫茶店のブ−ム的な人気とは対照的に近年では、「ただの喫茶店」から顧客が遠のきはじめ、個別 の喫茶店経営は厳しい時代に入っている。とはいえ、平成9年における喫茶店への1世帯当たり支出額は7年ぶりに前年比で増勢に転じており、喫茶店の存在価値を示す明るい兆しがある。したがって、顧客のニーズに沿って、喫茶店にしか出せない持ち味、特色をあらためて見直すことで、再び喫茶店に客を呼び戻すことの可能性が少なからず期待できる。
(1)
多種多様の利用動機と立地条件を組み合せた経営方針の明確化
 先の「環衛業に係る消費生活調査報告書(平成7年度)」によると、喫茶店の利用目的は男性では多い順に「仕事上の打合せ」、次いで「おいしいコ−ヒ−等を飲みたい」、さらに「休息、憩い、やすらぎ」「待合せ」「時間つぶし」などのほか多岐にわたるが、ビジネスに関連した利用が多くみられる。一方、女性では「おしゃべり、雑談」「おいしいコ−ヒ−等を飲みたい」「待合せ」「休息、憩い、やすらぎ」の順位 だが、利用目的は上位のこの4項目に集中している。男女別で利用目的の違いがあるものの、喫茶店の利用動機は多種多様であることがわかる。
 また、喫茶店を利用するときの店の選択方法は、男性ではもっとも多いのが「近隣商店街」次いで「駅前」さらに「デパ−トやショッピングセンタ−内」の順となっているが、女性では「デパ−トやショッピングセンタ−内」が2位 に上がり、「駅前」が3位に後退している。
 このように男女によって利用動機が異なり、また店の選択が異なるので、立地条件や主要顧客層に応じて、店内の雰囲気づくりなどに留意する必要がある。客層が店の立地からみて何を望んでいるのかを把握し、多種多様の利用動機に合わせた経営方針を打ち出し、顧客にアピ−ルすることが必要であろう。
(2)
コーヒー、紅茶等の味へのこだわり
 先の利用目的でみると「おいしいコ−ヒ−等を飲みたい」は男女とも2位 にあるが、喫茶店で注文するのはホットコ−ヒ−が71.8%と圧倒的に多く、喫茶店に求められるのはコーヒーの専門家がいれた味へのこだわりである。喫茶店の専門性を活かした本物の味や香りを追及したり、様々な品ぞろえを豊富にすることが喫茶店の本命であり、店主のコーヒー、紅茶に対するうんちくや情熱が感じられるような店がコ−ヒ−愛好家に支持されよう。
(3)
メニューのオリジナリティーを工夫
 マンネリに陥りやすい軽食メニューに独自色を出すことも重要である。しかし、一般 的に喫茶店の厨房設備は、電子レンジ、ガスコンロ、冷蔵庫等がある程度で、通 常の飲食店に比べるとはるかに軽装備であり、しっかりとした調理技術を持つ店舗は少ない。確かに喫茶店で軽食を注文すると、コーヒー卸売業者が扱っている加工食品をあまり手を加えることなく加熱する程度で提供していると覚しき場合がある。メニューを単に広げるのではなく、むしろ特化し、手作りの味を出すなどによりその店のオリジナリティを工夫することが望ましい。
(4)
顧客の価格志向、簡便志向への対応
 近年、顧客の価格志向、簡便志向等のニーズの多様化に伴って、ドトールコーヒー等に代表される150〜200円といった低価格のコーヒー店が、急速にチェーン展開して、店舗数を増やしている。また、ファーストフードの店ではいずれも低価格でコーヒーを提供しており、簡便なコーヒーショップとしての役割を果 たしている。このような新業態の参入が高まるなか、従来の喫茶店のコーヒー価格が相対的な割高感を消費者にもたれており、低価格で気軽にコ−ヒ−が飲める新業態へ喫茶店利用客が移動したり、また新たな需要層を開拓しているのも事実である。
 確かに顧客が喫茶店を選択する際に価格や簡便さは重要なポイントであるが、しかし、顧客は喫茶店に対し、「コーヒー+アルファ」に対し対価を支払うのであり、このプラスアルファの部分を、喫茶店でなければ出せない独特のものとして持続し続ければ、今後とも喫茶店の存在価値はなくならないと思われる。
(5) 「喫茶店という空間で過ごす時間」の快適さ
 顧客が喫茶店を利用するニーズは多種多様である。しかし、これらに共通 する点は「喫茶店という空間で過ごす時間」の快適さ、満足感にあるといえよう。そのためには顧客がくつろげる雰囲気をいかにして醸し出すかにかかっている。
 そこでまず重要なのは、喫茶店が顧客にとって親切なもてなしを感じられる場所であるかどうかであろう。次いで店主の人柄や個性や従業員の接客態度などが大事である。これらは店の雰囲気へ反映されるからである。とくに小規模であればあるほど、店主と顧客とのなごやかな会話の可否が店全体のム−ドに与える影響が大きく、経営面 でないがしろにできない要素である。さらにいうまでもなく店舗の清潔感や、食器や調度品はもとより照明、レイアウト等にも気を配ることが大事であり、これらについては定期点検のスケジュールを組んでチェックすることが望ましい。
5 工夫している事例
☆女性客をタ−ゲットにした店づくり。合言葉は「私のファンを増やそうよ」
  •  立地:宮崎市、 県庁に近いオフィス街
  • 従業者:15名(パ−ト、アルバイト6名)
  • 経営理念:「私のファンを増やそうよ」
  • 創業:昭和41年
  • 経営理念:「損して得をとれ」
  • 客席数:80席 ・ 現在の稼働率:約3回転
 創業時は、宮崎市内の飲食店街の小さな借用店舗から出発。昭和59年に現在地に店舗を建設、44歳のときであった。当時は銀行に信用がなく、建設資金の調達に並々ならぬ 苦労をした。当初、夫婦と従業員1名の合計3人の小規模経営は、その後順調に発展し、現時点では従業者15名までに成長している。当店の特徴は、顧客数に占める女性の割合が80%にまで達していることである。特にアイドルタイムは40歳代の女性が圧倒的に多く、女性に非常に人気のある異色の喫茶店である。では、どのような経営戦略の展開によって、女性客を軸に成長してきたのか、その要因を以下にみてみよう。
@ 女性をタ−ゲッットにした店づくり
   他店との差別化戦略として、タ−ゲッットを女性に絞り込んだ店づくりと、極力中高年女性の好みに合わせて高級感を出すように心掛けている。女性客を固定客として囲い込む方策として"年中無休"とした。特に顧客の少ない午後1時から5時までの間の稼働率向上を目標に掲げた。狙いは、外出する機会が多くなっている中高年女性である。「お茶しませんか」が挨拶代わりになっている中高年女性は、曜日によっては小グル−プで入れる店がなかなか見つからない。そこで、年中無休にすれば「ああ−、あの店ならお休みでも営業しているわね」となる。となれば、1年中いつでも安心して利用してもらえ、しかもアイドルタイムの愛用固定客になっていくという発想だ。また、高級感については、設備のみならずコ−ヒ−カップ一つにしても、店のネ−ムを焼き付けてもらい、高級感をもたせた。年中無休や高級感は、女性間同士の口コミによる情報発信も期待できる。
A 店内整備に対する気配りの徹底
   女性客主体なので、特に化粧室の設備を改善し、トイレなどの清掃にも細心の注意を払っている。店内のレイアウトは、女性のグル−プの顧客が使いやすいように工夫している。
B 固定愛用者化への取り組み運動展開
   「私のファンを増やそうよ」を合言葉に、従業員1人当たり5人以上のファンをつくることを目標に、固定愛用者化への取り組み運動を展開している。顧客の名前、好み(飲み物の種類、読む雑誌、新聞などの種類等)などを覚えて対応できる体制を築きあげ、街で会っても名前を呼び、挨拶ができるようにしている。顧客が帰る際に「また来るね」とか「ご馳走さま」、「ありがとう」などの言葉をかけてもらえるような、親近感の醸成や誠意のあるサ−ビスを心掛けている。
C 経営者と従業員との意思疎通つくり
   「マスタ−との伝言板」というノ−トを設けて、経営者と従業員の意見交換の場をつくり、なんでも気軽に意見がだせるようにして、意思疎通 を図っている。
D 人材育成の強化
   経営者自らの実践をお手本として示すなどして、OJTを主体にした教育を徹底している。また、接遇の優れている他店に、小遣いを持たせて実地見学に行かせ、能力開発の一助にしている。
E 共同仕入れで原価率低減
   独立させた4人の弟子と共同仕入れにより、仕入れ価格は通常の10〜20%引きで購入し、原価率低減に役立てている。
F フ−ドメニュ−は1品にしぼり効率化
   女性の憩いの場の提供が目標であることや、顧客が時間帯により立て込んだ際サ−ビス低下のことも考えてメニュ−は飲み物主体にし、フ−ドメニュ−はスパゲッテイのみにして効率化を図っている。
 以上は、女性をタ−ゲッットにした店づくりで成功した事例である。常に明確な目標をもち、出来る方法を考えて、一つずつ実践して今日を築きあげている。宮崎市は、総務省の家計調査の対象49都市(都、府、県庁所在都市に川崎市、北九州市)の中で喫茶代の支出は46位 (平成12年)と支出水準が低いだけに、従業者15人まで成長するのには横並び精神では達成できなかったであろう。いかに他店との差別 化を図っていくか、また顧客との接点を大切にし、固定的愛用者の層づくりの方策を基軸に、可能な限り計算しつくして、個性化、異質化に挑戦した事例といえる。

資料
  1. 総務省「事業所・企業統計調査」
  2. 総務省「家計調査年報」
  3. (財)東京都生活衛生営業指導センター「環衛業に係る消費生活調査報告書(平成7年度)」
  4. (財)東京都生活衛生営業指導センター 平成11年度「環境衛生関係営業の実態と今後のあり方」(喫茶飲食)
  5. 全国生活衛生営業指導センタ−「成功事例調査」
  6. 金融財政事情「企業審査事典」
  7. 中小企業リサ−チセンタ−「日本の飲食業」
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