(1)
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事業所数減少率は拡大、小規模店が大幅減少の半面、大型店が増加 |
ア |
すし店は、江戸前の握りずしと大阪の押しずしが主流だが、近年、回転ずし店、持ち帰りずし店、ス−パ−等の単品ラップずし等が増加している。回転ずし店は、大半が江戸前ずしを扱っているが、職人がカウンタ−内で握りベルトコンベヤ−で流す方式と、顧客から見えない調理室でロボットが大半を握り、ベルトコンベヤ−で流す方式とに大別
される。
回転ずしは、消費者の低価格志向に加え、座れば即時に食べられる便利性、単身世帯の晩飯代わりなど、気軽に安直に食べられる特徴が、既存のすし店と一線を画している。すしの大衆化路線を狙い、大手チェ−ン店の多店化戦略により東京、大阪などの大都市をはじめ、地方都市にまで出店が広まり、いまや、全国的に回転ずし店が急成長してきており、すし店は既存型店と回転ずし店で2分されている。急速な出店で、首都圏の中心部では過剰出店の傾向がみられ、チェ−ン店のなかには都内の末端に進出する傾向がみられる。しかし、集客力が弱く、開店して半年も経過しないのに閉店するチェ−ン店もあるなど、今後は新陳代謝が激しくなる兆しがうかがわれる。
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イ |
ここで扱うすし店の事業所数は、主としてすしをその場所で飲食させる、いわゆるすし屋をいう。回転ずしやファミリ−レストランタイプのすし店を含むが、宅配すし、持ち帰りすしを販売する店は含まない。平成13年の全国のすし店の事業所数は39,539店で、11年と比べると2,957店減少している。減少率でみると、3年4.4%減、6年0.6%減、8年1.0%減と微減で推移していたが、11年には5.8%減と大幅に減少している。ところが、13年は7.0%減(一般
飲食店0.1%減)とさらに減少率が拡大し、一般飲食店の各業種の中で減少率が最大となっている。
しかし、従業者数は234,069人で、平成11年に比べ5.3%増(一般
飲食店全体6.5%増)と引き続き増加している。これは、回転ずしの大型店が急増していることを反映している。1事業所当たりの従業者数は5.9人(一般
飲食店全体6.6人)と、8年4.9人、11年5.2人に続き増えている。 |
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ウ |
平成13年の法・個人別事業所数は、個人が27,891店(構成比70.5%)、法人は11,648店(同29.5%)となっている。法・個人別
事業所数を11年と比べると個人が9.2%減に対し、法人は1.2%減と個人の減少率の高いのが目立っている。
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エ |
事業所数を従業者規模別でみると、4人以下の小規模店が全体の68.5%(一般
飲食店全体62.7%)となっており、11年の70.0%より少なくなっている。従業者規模別
に11年対比でみると、19人以下の規模はいずれの層も減少しており、特に1〜4人は2,688店も減少し、全体の減少数2,957店の90.9%を占めている。半面
、20人以上の階層は全部が増えており、特に50〜99人が154店増(32.0%増)、100〜199人が106店増(70.7%増)と大型店が増加する傾向にあるが、これらは大半が回転ずしとファミリ−レストランタイプの大型すし店などの新業態である。
事業所数の推移 |
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(参考)一般飲食店全体 |
(単位:店、%) |
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(単位:店、%) |
調査年 |
従業者規模 |
合計 |
1〜4人 |
5人以上 |
平成6年
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(74.2)
33,786
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(25.8)
11,777
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(100.0)
45,563
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平成8年 |
(70.3)
31,725 |
(29.7)
13,380 |
(100.0)
45,105 |
平成11年 |
(70.0)
29,768 |
(30.0)
12,728 |
(100.0)
42,496 |
平成13年 |
(68.5)
27,080 |
(31.5)
12,459 |
(100.0)
39,539 |
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合計 |
(70.0)
326,819
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(100.0)
466,835
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(65.7)
299,963 |
(100.0)
456,420 |
(65.1)
288,426 |
(100.0)
443,216 |
(62.7)
277,694 |
(100.0)
442,883 |
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(注) ( )内は構成比である。
資料:総務省「事業所・企業統計」 |
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(2)
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進む構造的な「すし離れ」、外食の花形から後退 |
ア |
総務省「家計調査年報」によると、平成14年の1世帯当たりすし(外食)の年間支出額は16,289円で、前年と同額(一般
外食費全体1.8%増)に止まっている。ただし、支出金額は昭和54年以降、最低水準となっている。
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イ |
かつては、すし食といえば外食の花形であり、高嶺の花的な存在であった。しかし、長期的に見ると衰退の傾向が明らかである。昭和56年の17,499円を底に年間支出金額は平成3年の20,583円まで増勢をたどった。この10年間の伸び率は17.6%増であるが、すしを除いた日本料理、西洋料理、中華料理、飲酒代等の一般
外食の伸び率は55.0%増であり、すしの支出は他の飲食支出に大きく水を空けられていた。
その後、平成3年から14年までの11年間は、前の10年間とは逆に傾向的に前年割れが続き、13年まで減少が続いている。14年を3年と比べてみると20.9%減となり、この間のすしを除いた一般
外食への支出は0.6%増であり、すしへの支出減少の大きさを示している。この結果
、一般外食費全体に占めるすし支出の割合は、昭和56年16.2%、平成3年12.8%、14年には10.3%と、年を追うごとに後退している。
バブル全盛時代は着るものでも外食でも、高級ム−ドに浸っていた時代だが、平成2年ですら、すしの支出は前年比1.4%増と低い伸び率であり、一般
外食費支出全体の5.1%増を下回っている。すしに対する支出は、このように景気の好不況にかかわらず減少していることからみて、構造的に「すし離れ」が生じていることがうかがわれる。さらに、近年、単価の高い伝統的なすし店から低単価の回転すしや持ち帰りずしへ需要がシフトしていることも、支出金額減少に拍車をかけているといえよう。
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ウ |
1世帯当たりの年間支出額を世帯主の年齢階級別に平成14年についてみると、支出が最も多いのは50〜59歳で19,638円、次いで60〜69歳の19,024円となっており、50〜59歳の支出は全世帯の約20%増となっている。一方、支出が最も少ないのは29歳以下の世帯で8,491円、次いで30〜39歳の11,342円となっており、29歳以下の世帯は全世帯平均の約半分に過ぎない。 |
エ |
1世帯当たりの年間支出額を都市別にみると、1位
は甲府市で24,287円、2位は宇都宮市23,379円、3位は和歌山市21,933円となっている。甲府市は全世帯の1.5倍も支出している。半面
、少ない順では、那覇市3,938円、松山市8,508円、徳島市9,753円となっている。 |
(3)
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急がれる「すし離れ」への対応 |
消費者のすし離れは、最近の日本人がすしを嫌いになったわけではない。現在でも、すし食は日本人の好きな食べ物のベスト5に確実に入る食べ物に違いない。従来型のすし店はさておき、回転すし、持ち帰りすし店などの混雑している新業態店を多くみかけることでも十分に証明されよう。すし離れ現象は、従来型のすし店で主に生じている傾向が強い。
最大の原因は、ここ十数年の間に一段と巨大になった外食産業が、消費者の食生活の多様化や嗜好の変化をもたらしたことにある。日本料理の大衆化、新業態の出現、海外からも目新しい外食の進出などで、消費者の選択肢は好むと好まざるにかかわらず拡大している。従来型のすし店で食べるすしは、大衆のあこがれの座から多数の外食とほぼ横並びで選択される存在へと変化しているといえよう。この結果
、消費者のすしの需要が他の外食に流出するという、消費者の食生活の構造変化が生じているといえよう。したがって、不景気を理由に高級感、高料金のすし店を敬遠しているわけではなく、すし離れは景気の好不況とは関係ないところで主に起きている。
このように「すし離れ」は業界を巡る構造的な変化であり、生半可な手段ではすし離れ現象は解決されない。本腰を入れた対応策が急務である。 |