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そば・うどん店より多い中華料理店数 |
ア |
中華料理は、中国料理ともいわれるように中国で発達したものである。中華料理は大きく分けて北京料理、上海料理、四川料理、広東料理の4大料理系統からなるが、日本国内では日本独自の食文化に適応させた中華料理が見られ、長崎のしっぽく料理、中国式の普茶料理はその代表的なものである。特に最近は、ラ−メン店にその傾向が強く、地域名を冠したラ−メン専門店の展開が増えており、なかにはス−プに煮干しを使ったものなども現れている。
中華料理のメニュ−は、3,900種類もあるといわれ、一般の大衆店ですら最低50品目のメニュ−の調理が可能である。千差万別
のメニュ−に加え、なじみやすい味、ボリュ−ム感、高い栄養価などにより消費者の高いニ−ズに支えられている。また、店によって調理技術が多種多様であり、味付けは調理人に付随しているため、それぞれの店ごとに独自の味を打ち出すことができるという特性をもっている。
中華料理店は、横浜の中華街にあるような結婚式の披露宴や、大人数の宴会ができ本格的なコ−ス料理を提供する大型中華料理店、小宴会、歓送迎会などが行える中型中華料理店、おかゆなど独自のメインの料理を売り物にした専門料理店、大衆的な中華そば、チャ−ハン、餃子を主体にした大衆店など、規模、料理の内容など多種多様の店舗が揃っている。
経営面では、大衆店は比較的小資本と家族従業員で開業ができるいう利点があるので、新規参入が容易であり、特に、ラ−メンやギョウザ専門店にはこの傾向が強い。地方都市では、この利点を生かして特定の料理に絞り込んだ独立企業が次第に増加して集団を形成し、街の顔となっている事例が増えている。宇都宮市のぎょうざの街、佐野市のラ−メンの街など、中華料理の専門店の集団を地域活性化の起爆剤にしている地方都市が増えている。また、地方の大都市に大規模の中華レストラン街の展開がみられ、次第に増加しつつある。
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イ |
平成13年の全国の中華料理店の事業所数は62,989店で、日本人の日常の食生活でなじみの多いそば・うどん店の1.8倍、すし店の1.6倍と、すっかり大衆の食生活に溶け込んでいる。増加率は11年に比べ2.0%(一般
飲食店全体0.1%減)である。一般飲食店全体に占める割合は、14.2%と11年の13.9%に比べ拡大している。
従業者数は369,667人で、11年に比べ10.1%増(一般
飲食店全体6.5%増)と大幅に増加しているが、1事業所当たりの従業者数は5.9人であり、一般
飲食店全体6.6人よりも少ない。 |
ウ |
平成13年の法・個人別事業所数は、個人が45,389店(構成比72.1%)、法人は17,600店(同27.9%)となり、11年に比べると個人が2.2ポイント%減に対し、法人は2.2ポイント%増となっている。 |
エ |
事業所数を従業者規模別でみると、4人以下の小規模店が全体の62.7%(一般
飲食店全体62.7%)となっており、平成11年の65.8%に比べ減少している。従業者規模別
に11年と比べてみると、1〜4人のみが1,147店減少(2.8%減)し、それ以外の規模はいずれも増加している。なかでも5〜9人では991店増(7.8%増)、10〜19人1,016店増(17.4%増)と両規模で2,007店増加している。この増加数は、1〜4人の1,147店減少を大幅に上回っており、5〜19人規模の新規参入や1〜4人規模からのシフトが多かったことがうかがえる。
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事業所数の推移 |
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(参考)一般飲食店全体 |
(単位:店、%) |
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(単位:店、%) |
調査年 |
従業者規模 |
合計 |
1〜4人 |
5人以上 |
平成8年 |
(67.0)
41,386 |
(33.0)
20,428 |
(100.0)
61,814 |
平成11年 |
(65.8)
40,624 |
(34.2)
21,103 |
(100.0)
61,727 |
平成13年 |
(62.7)
39,477 |
(37.3)
23,512 |
(100.0)
62,989 |
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合計 |
(65.7)
299,963 |
(100.0)
456,420 |
(65.1)
288,426 |
(100.0)
443,216 |
(62.7)
277,694 |
(100.0)
442,883 |
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(注) |
1 |
「事業所・企業統計」は平成8年より、「中華料理店・焼き肉店・東洋料理店」から「中華料理店」を分離した。
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2 |
( )内は構成比である。 |
資料:総務省「事業所・企業統計」 |
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オ |
総務省の「家計調査年報」によると、1世帯当たりの中華食の年間支出額(平成12年版から新設項目)は14年5,487円で、前年比6.3%減と後退している。一方、中華そばの支出は、5,641円と前年比で4.6%増加している。中華そばの支出は、昭和62年をピ−クに低下傾向にあったが、平成8年を底に再度増加に転じている。しかし、前年比増加率は9年7.4%増、10年7.5%増以降、11年0.2%増、12年1.9%増と微増だったものが、13年には4.6%増と増加率が高まっている。
中華食の年間支出額が5,487円に対して、中華食に比べ低単価の中華そばが5,641円と上回っているのは、日本人の中華そばへの嗜好の強さと、最近の中華そばブ−ムの再燃を反映しているものとみられる。 |
カ |
同調査により都市別にみると、中華食の支出は1位
が予想外にも京都市で11,362円、2位は川崎市で9,882円、3位
は岐阜市9,828円となっており、京都市は全世帯平均の2.1倍と、京都の人たちの外食は“中華料理好み”の傾向がうかがわれる。半面
、支出が少ない順にみると、宮崎市が2,034円、次いで青森市が2,409円、山形市2,423円となっている。総じて、東北6県の調査対象都市は、全国水準からみて中華料理への支出は低位
にある。
逆に中華そばの支出は、1位は福島市11,001円、2位は宇都宮市10,842円、3位
は山形市で10,626円となっているが、4位秋田市、5位仙台市、9位
盛岡市と東北地方が10位内に5都市も含まれている。また、隣接の信越地方の新潟市が6位
、長野市が7位にランクされており、気温の低い地方の住民は外食に中華そばを好む傾向が支出の順位
に表われている。一方、支出が少ない順では、中華街があるのになぜか神戸市が最も少なく2,265円、次いで津市2,850円、鳥取市が3,599円となり、神戸市は1位
福島市の5分の1の支出に過ぎない。 |