(1) |
小規模事業所数が大幅に減少、半面、増加率著しい中規模層 |
ア |
一般公衆浴場業とは、日常生活の用に供するため、公衆、または特定多数人を対象として入浴させる事業所をいう。一般
に銭湯業、湯屋業、ふろ屋業といわれているもので、温泉浴場業、蒸しぶろ業、サウナ風呂業、ソ−プランド業などの特殊浴場業は含まれない。また、ヘルスセンタ−やコインシャワ−業も含まれない。
公衆浴場業は、公衆浴場法などにより、入浴者の保健衛生管理面から多くの法的規制が定められている。また、配置に関しては既存浴場との間に一定の距離規制が設けられおり、入浴料金も公共性が極めて強いだけに、物価統制令の対象となっている。近年では、年々増えている人件費等固定費を入浴収入でまかなえないため採算が厳しくなっているので、ほぼ毎年、入浴料金の改定が行われている。
最近は、先発のヘルスセンタ−などに加え、東京都内でもボ−リングによる温泉湧出で温泉付き大型レジャ−施設が増加しており、また、工場跡地など広大な土地に大量
の駐車が可能で、しかも、一般公衆浴場並みの料金で入浴でき、食事や休憩施設も併設したス−パ−銭湯の進出が、既存業者の経営に影響を与えている。 |
イ |
平成13年の全国の一般公衆浴場の事業所数は、6,983軒と11年に比べ516軒減少しているが、8年対比11年の830軒減少に比べると減少数が少なくなっている。減少率は6.9%減で、8年対比11年の10.0%減よりは減少幅が縮小しているが依然として業界からの退出が続いている。
従業者数は、34,773人で、11年に比べ大規模公衆浴場業の増加を反映して6.0%増と、8年対比11年の2.9%減から増加に転じている。1事業所当たりの従業者数は4.9人(11年4.4人)となっており零細性が強い。 |
ウ |
平成13年の法・個人別事業所数は、個人が4,457軒(構成比63.8%)、法人は2,526軒(同36.2%)となっており、11年に比べ個人が8.6%減、法人は4.7%増と個人が減少している。 |
エ |
従業者規模別に事業所数をみると、13年は4人以下が11年に比べ708軒減少しており、全体の減少数516軒を超えている。逆に増加しているのは、5〜9人で11年に比べ114店増えている。従業者規模別
の事業所の推移を平成3年と14年で比較すると、1〜4人は3年に8,355件あったものが、その後の11年間に3,213軒も減少、1年平均で292軒も廃業している計算になる。
その一方で、10〜99人層が3年に比べ282軒(増加率91.7%)も増加しており、なかでも10〜19人が103軒増(増加率47.0%増)、20〜29人が91軒増(増加率3倍)、30〜49人が年70軒(4.7倍)に増加している。これらからみて、小規模層の減少、中規模層の拡大という構造変化が明らかに生じていることが読み取れる。
事業所数の推移 |
(参考)ヘルスセンター、
サウナ風呂の施設数 |
(単位:店、%) |
(単位:店) |
調査年 |
従業者規模 |
合計 |
1〜4人 |
5人以上 |
平成6年 |
(83.2)
7,644 |
(16.8)
1,549 |
(100.0)
9,193 |
平成8年 |
(79.2)
6,596 |
(20.8)
1,733 |
(100.0)
8,329 |
平成11年 |
(78.0)
5,850 |
(22.0)
1,649 |
(100.0)
7,499 |
平成13年 |
(73.6)
5,142 |
(26.4)
1,841 |
(100.0)
6,983 |
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ヘルス
センター |
サウナ
風呂 |
1,480 |
2,947 |
1,653 |
2,920 |
2,010 |
2,583 |
2,086 |
2,362 |
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資料: |
1 総務省「事業所・企業統計調査」
2 ヘルスセンター、サウナ風呂は、厚生省労働省「衛生行政業務報告」による。
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(注) ( )内は構成比である。 |
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(2) |
半数以上が兼業、法人に比べて多い個人の兼業「無し」 |
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一般公衆浴場業以外の事業経営「有り」の施設割合は、「有り」が56.5%、「無し」は43.3%で、「有り」が半数を超えている。「無し」を法・個人別
に見ると、個人が49.0%と法人に比べて多くなっている。「有り」と回答した施設の事業内容を見ると「コインランドリ−」が24.0%と最も多く、次いで「アパ−ト・マンション経営」が20.3%となり、3番目以降の「駐車場経営」8.6%、「貸店舗・貸事務所」7.4%などに比べ、圧倒的に多い。〔厚生労働省「公衆浴場業(一般
公衆浴場)の実態と経営改善の方策」(平成11年3月)〕 |
(3) |
後継者「無し」が「有り」を若干上回る |
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後継者の有無も営業を存続するかどうかの大きな鍵を握っているが、経営者の年齢が50歳以上の施設についての調査では、後継者「有り」が44.8%、「無し」が47.8%と「無し」の方が若干多い。後継者「有り」を年齢階級別
に見ると、50〜59歳33.8%、60〜69歳39.6%、70歳以上が63.9%となり、高齢化になるほど後継者を確保している。つまり、後継者が決まっているから、高齢に達するまで安心して事業が継続されているといえよう。一方、後継者「無し」では、50〜59歳56.4%、60〜69歳52.4%、70歳以上が32.2%となっており、高齢になるほど少なくなっている。〔厚生労働省「公衆浴場業(一般
公衆浴場)の実態と経営改善の方策」(平成11年3月)〕 |
(4) |
就業規則の整備が少ない個人経営 |
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就業規則の有無は従業員を確保する上で大事であるが、就業規則「有り」は16.4%で、「無し」が74.2%となっており、)就業規則の整備が進んでなく、前近代的な経営体が圧倒的に多い。これを法人・個人別
に見ると「有り」は個人経営10.4%、有限会社25.6%、株式会社47.0%であり、「無し」は個人経営77.7%、有限会社70.0%、株式会社51.8%であり、株式会社ですら「無し」が過半を超えており、業界全体にとって組織や労務管理体制の強化が望まれる。〔厚生労働省「公衆浴場業(一般
公衆浴場)の実態と経営改善の方策」(平成11年3月)〕 |