日本料理店・料亭-2005年
1 概況
2005年
(1) 日本料理店・料亭の定義
  一般的には、飲食店の中でも天麩羅、すき焼きなど主として日本で発達した料理を提供するものを日本料理店と呼んでおり、主に企業の接待や宴会等に使われ芸妓の接待も利用できる高級飲食店を料亭あるいは料理屋などと呼んでいるが、総務省の日本標準産業分類では、日本料理店は一般 飲食店(中分類)の中に属し「主として特定の日本料理(そば、すしを除く)をその場所で飲食させる事業所(主として遊興飲食させる事業所を除く)」と、料亭(料亭、割ぽう店、待合)は遊興飲食店(中分類)の中に属し「主として日本料理を提供し客に遊興飲食させる事業所」と定義されている。 また、生衛法(生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律)では、営業者は政令で定める業種ごとに生活衛生同業組合を組織することができるとされており、同法の政令別 表で、食品衛生法上の飲食店営業と喫茶店営業をその業態により7つの業種に区分しているが、その一つに「風俗営業たる飲食店営業であって、料理店、待合その他これらに類するもの」との規定があり、業界ではこれに属する営業を料理業と呼んでいる。 なお、料亭など客に遊興飲食させる営業を営む場合は、食品衛生法の飲食店営業許可のほかに風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)による都道府県公安委員会の許可が必要であるが、同法第2条では、この風俗営業許可が必要な営業の一つとして「料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」という定義がなされている。
(2) 飲食業のなかで圧倒的に異なる業態を含む日本料理店
 日本標準産業分類で、日本料理店と料亭の具体的な業種として掲げているのは、次のとおりで多種多様である。
日本料理店(遊興飲食させる事業所を除く)として分類されている業種
○ 和風料理店としてのイメージが強い業態 懐石料理店
   すき焼き店、てんぷら料理店、しゃぶしゃぶ店、うなぎ料理店、 川魚料理店、精進料理店、鳥料理店、
   ちゃんこ鍋店、沖縄料理店、郷土料理店、かに料理店
○ 身近に多くあって大衆的なイメージの強い業態
   釜めし屋、お茶漬け屋、にぎりめし屋、牛丼店、とんかつ屋
料亭(遊興飲食させる事業所)として分類されている業種
 料亭、割ぽう店、待合
 
(3) 事業所数の推移
 日本料理店と料亭の店舗数を総務省で3年ごとに行われる「事業所・企業統計調査」で見ると、日本料理店の16年の事業所数は42,031店となっており、11年は377店増加(1.0%増)、13年は3,130店と大幅に増加(8.0%増)したが、16年は138件減少(0.3%減)し、これまでの増勢に比べ、一転減少に転じている。常用雇用者なしの日本料理店の事業所数は7,571店で、全体に占める割合は18.0%で、西洋料理店14.1%に次いで少ない。また、13年に比べて114店の減少に過ぎず、減少数は4番目に少ない。 一方、料亭の16年の事業所数は5,249店で、前回調査(13年:5,831店)、前々回調査(11年:7,334店)に比べて、減少幅は縮小しているもの事業所数の減少が続いている
2 日本料理店・料亭の特性
 日本料理店や料亭を中心に取りまとめられている「料理店の経営実態調査」(厚生労働省:平成15年度)により、その特性を概観してみよう。
・経営組織 有限会社37.3%、株式会社33.9%、個人経営25.4%と、他の生活営業関係営業の業種と異なり、法人組織の構成比が多い。
・経営者の年齢 60〜69歳が最も多く36.3%を占め、次いで50〜59歳が30.6%、さらに70歳以上が16.3%を占めている。70歳以上が16.3%は、他の生活営業関係営業の業種ではみられなく、50歳以上が83.2%に達している。40歳未満は、わずかに3.1%に過ぎない。
・後継者 経営者が50歳以上で「後継者有り」は73.5%で高い割合を示している。
・立地条件 商業地区が67.9%で最も多く、次いで住宅地区が21.0%を示している。
・風俗営業の許可 風俗営業の許可を受けている店舗の構成比は65.3%と多い。
・営業時間 1日の営業時間は10〜12時間未満が35.0%、次いで8〜10時間未満で「26.7%」となっている。
・従業者の規模 10〜19人が35.0%、5〜9人が29.0%であり、他の生活営業関係営業の業種に比べ、従業者規模が大きい。
・1店舗あたりに平均従業者数 平均で15.6人、うち臨時雇用者数6.9人、調理師免許取得者3.5人である。

3 従業者規模別で見た事業所数など

(1) 日本料理店の事業所数全体は微減、10〜19人規模のみ増加
 平成16年の日本料理店の事業所数を表の「日本料理店の事業所数の推移」により見ると、42,031店で13年に比べ138店減少(0.3%減)している。このうち1〜4人規模は19,714店(構成比46.9%)であり、13年に比べ318店減少(1.6%減)している。5人以上規模は22,317店(構成比53.1%)であり、13年に比べ180店増加(0.8%増)している。5人以上のうち10〜19人規模のみは、3年ごとに行われる調査年でみると、13年は11年に比べ349店増、16年は13年に比べ555店増となり、増加幅が拡大している。ただし、5人以上の他の規模は、13年に比べ減少している。特に30〜49人規模は、10.1%減と減少幅が高い。 料亭の平成16年の事業所数は5,249店で、前回調査(13年)に比べ582店減少(10%減)、前々回調査(11年)に比べると2,085店減少(28.4%減)となっている。
(2) 従業者数も減少
 日本料理店の従業者数は16年363,162人であり、13年調査に比べ4,037人減少(1.1%減)となっている。1事業所当たりの従業者数は8.6人で、13年8.7人とほぼ同じである。これは一般 飲食店全体の6.6人を上回っている。 一方、料亭の16年の従業者数は40,490人、13年調査に比べ3,651人減少(8.3%減)となっている。1事業所当たりの従業者数は7.7人で、13年7.6人とほぼ同じである


日本料理店の事業所数の推移    (参考)一般飲食店全体
(単位:店、%) (単位:店、%)
調査年 従業者規模別 合計 従業者 合計
1〜4人 5人以上 1〜4人
平成8年 (46.6)
18,029
(53.4)
20,633
(100.0)
38,662
(34.3)
156,457
(100.0)
456,420
  11年 (48.0)
18,739
(52.0)
20,300
(100.0)
39,039
(34.9)
154,790
(100.0)
443,216
  13年 (47.5)
20,032
(52.5)
20,300
(100.0)
42,169
(37.3)
165,189
(100.0)
442,883
  16年 (46.9)
19,714
(53.1)
22,317
(100.0)
42,031
(61.9)
259,706
(100.0)
419,663
注 ( )内は構成比である。
資料:総務省「事業所・企業統計調査」

 

4 「家計調査年報」でみる日本料理への支出状況
(1) 一進一退の日本料理への支出、一般外食費の中で最高支出
  総務省「家計調査年報」によると、17年の1世帯当たり和食の年間支出額(平成12年新設項目)は、22,169円で前年に比べ2.0%増となっている。平成12年以降、21,000円と22,000円の間で1年ごとに一進一退を繰り返している。和食の年間支出額は、一般 外食の内訳項目の中で最も多く、洋食支出15,900円、すし支出(外食)14,517円をはるかに上回っている。
(2) 年齢階級別で最高支出は50〜59歳
 平成17年について世帯主の年齢階級別にみると、最も支出が多いのは、60〜69歳が25,541円、次いで50〜59歳で25,108円、70歳以上が21,053円と続く。一方、支出が最も少ないのは、29歳以下世帯で18,996円となっている。最多支出の60〜69歳は、全世帯平均を3,370円も上回り、また、最少支出の29歳以下は、3,170円も下回るなど年齢別 の支出格差が著しい。
(3) 都市別では、最高支出は岐阜市
 平成17年について都市別で見ると、1位は岐阜市で42,554円、2位 は山口市で41,840円、3位は川崎市で41,102円の順となっている。一方、支出が少ない順に見ると、那覇市11,352円、盛岡市11,783円、千葉市12,437円となっている。 全国平均を上回る都市は、面白いことに地方において拠点グループを形成している。新潟市、富山市、金沢市の裏日本グループ、岐阜市、静岡市、名古屋市の東海グループ、大津市、京都市、大阪市、神戸市、奈良市などの関西グループ、徳島市、高松市、松山市の四国グループ、福岡市、鹿児島市を除いた九州グループなどである。

5 最近の和風料理店の動向

(1)
高級日本料理店も大衆化路線に参入
 いまや名の売れた日本料理店もあの手この手で、日本料理の大衆化への参入を図っており、昼食時間帯にランチタイムとして、2〜3千円の価格帯で和食を提供して日本料理店や、なかには1,000円の和食ランチが人気を呼んでいる日本料理店もある。これらの店は、主婦層のグループによる口コミで評判が広がり、潜在需要を掘り起こしている。 特に京都をはじめ関西の知名度の高い高級料理店などは、一元では相手にされない超弩級の和風料理店、割烹店などでも、東京はじめ大阪などの首都圏の高層ビル、百貨店の特別 食堂、シテイホテル内などに出店し、料金を一般大衆が手を出せる範囲に設定して、ファミリー客や女性グループ客など幅広い年齢層を対象にした営業を展開している。 また、和風の雰囲気の良い店づくりで、手軽な料金設定による創作和風料理を提供する小規模で瀟洒な和風料理店が数多く出現している。狙いは中高年女性のグループ層や若いカップル、あるいはファミリー客を対象とした日本料理の大衆化路線である。女性グループ客や若いカップルが利用しやすいように単価を工夫、こぎれいな和風の店構えのカウンター席で懐石料理を3,500円で提供するなど、時代の流れに対応した料金設定で人気を呼んでいる店が多くなっている。
(2)
アンケートにみる最近の料理店のイメージ
 一般大衆は、料理店にどのようなイメージをもっているのかを「環衛業に係る消費生活調査報告書(平成9年度)」〔(財)東京都生活衛生営業指導センター〕が行ったアンケートの回答(複数回答)でみてみよう。調査年次はやや古いが、消費者の意識はこの部分については大きな変化がないと思われるので、参考までに取り上げた。
☆一般大衆が料理店に持っているイメージ
1位は「落ち着いた雰囲気がある」が77%
2位は「日本料理が美しい」66%
3位は「器がすばらしい」43%
4位が「小部屋、個室、堀り込み席がある」38%
5位が「和室がすばらしい」35%
 この回答からは、「落ち着いた雰囲気のある和風個室で、すばらしい器にもられ、見ただけでも美しい日本料理を食べる」という非日常的でかつ優雅なイメージが描かれている。昔なら料理店といえば、すぐに「芸妓さんによる優雅な接遇」を思い浮かべただろうが、このアンケートでは3%のみしか回答がなく、料理店に対する時代の変化をうかがわせる。 このアンケートの回答からは、かつての料理店の「料金が高く特別な日の食事」や「中高年男性の利用するお座敷料理」というイメージが払拭されている。日本固有のイメージが強調され、一般 大衆にとって日常縁遠い場所ではなくなったという感触の変化が現れている。 (注)「環衛業に係る消費生活調査」は、平成9年度以降行われていない。
(3)
料理店開催のイベントへの高い参加意識
 一般大衆は「料理店が行うどのようなイベントなら参加する意思があるのか」を同調査(複数回答)で見てみよう。
☆料理店が行うイベントに参加したいもの
1位は「季節料理を楽しむ会」で67%
2位は「日本料理を味わう会」56%
3位は「日本料理マナーセミナー」21%
4位は「お座敷体験入門コース」14%
 これを見ると、季節料理や日本料理を味わいたいが突出しており、料理店において、家庭では調理が困難な料理を味わうことへの関心が相当高いことを示している。つまり、非日常的な世界への憧れである。
(4)
健康志向で女性客を中心に和食人気が再燃
 一時は洋食ブームに押されぎみであった日本料理であるが、最近の健康志向を受け「カロリーが低く体によい料理」として人気が再び高まっている。女性誌などでも、ヘルシー料理として「日本料理店」が紹介されることが多くなっており、料理店のカジュアル化との相乗効果 もあって、友人と連れ立って気軽に食事をする女性客が増えている。また、外国人にも刺身などの人気が高まっている。特にマグロの人気が高いようである。

6 経営上のポイント

(1) 「味の求心」と「誠意ある接待」、忘れてはならない「真心」「誠実」
 日本料理店は、日常と違う空間の中で、家庭では味わえない料理を提供し、洗練された応対で営業することが重要である。お客の立場に立てば、ゆったりした和室でくつろぎながら、美しい器に盛られた料理がタイミングよく運ばれ、高級感に浸りながら楽しく食事ができることを求めている。このニーズに応えるのには、日本料理店がお客の身になってサービスを行う以外にない。全国生活衛生営業指導センターの「成功事例集」の経営者の座右の銘をみると、他の飲食店には少ない「真心」「誠実」「一期一会」が圧倒的に多く、この関係を象徴しているといえよう。
(2) 保守的な経営からの脱皮、大事な営業戦略
世の中の変化を察知し、それに対応した変化が必要
 日本料理店に対する顧客のニーズは多様化しているだけに、「ちょっと気取った店」「のれんの味」など、日本料理店がもつ保守的な経営を漠然と踏襲していくだけでは取り残されてしまいかねない。それだけに、お客のニーズをいかに汲み取るか、日常の営業の中で細心の関心を払う必要がある。
横並び経営からの脱皮、常に模索、個性発揮で差別化の徹底を
 さらに、そのニーズに合わせた料理を常に提供できるよう材料の吟味や技術の研鑽、季節変わりわりの特別 企画料理、旬の味の定期的発表などで個性を発揮することが重要である。また、顧客の紹介制度による新規顧客の獲得や、ダイレクトメール、季節メニューの送付などで固定客化を図るなど、積極的な営業戦略の展開が望まれる。 特に法人需要や宴会、歓送迎会の減少が著しい現在、日本料理店にとっては個人客や家族連れを中心とした幅広い客層の獲得が不可欠である。また、国際化の進展に伴いヘルシー食として外国人にも人気が高まっているので、いかに外国人の誘客を積極的に行うかも、営業面 で重要視されよう。
高齢者社会に対応した設備、分煙設備にも配慮
 設備面では、洗面所などの衛生面の留意はもちろん、高齢者社会に適応した建物の改造、たとえば客室、廊下などのすべての段差を解消したり、2階とのエレベーターを設置するなど、細かい配慮が必要な時代が到来していることを認識すべきである。また、分煙設備は健康法が施行されたので、至急整備する必要がある。
(3) 期待できる利用頻度の増加
 日本料理の課題は、従来の限られた客層にとどまらず、いかにして幅広い客層から支持を得るかである。そのためには、洋食文化になじんだ年齢層にも店に足を運んでもらうことが必要である。また、今後、高齢化はどんどん進捗するのは確実である。 前出の「環衛業に係る消費生活調査報告書(平成9年度)」によると、「条件が整えば、もっと日本料理店を利用したい」と回答したものが全体の51.3%と半数以上を占めており、利用頻度の増加は期待できる状況である。さらに「その条件」については、「値段が安くなれば」「気軽に入れるようになれば」「特色のある料理があれば」などの回答が上位 を占めるが、これは日本料理店の今後の経営を考えるうえで重要なヒントといえるであろう。
(4) 大衆化志向と専門化志向
 今後の店造りを考える際に、次の2つのキーワードが考えられる。
☆1 大衆化志向
@通常の外食料金と比べてもリーズナブルな価格設定
Aランチや夕食時に気軽に入れる店造り
B従来の和食の概念にとらわれないアイデアに溢れた創作メニューの提供などの工夫
 これらによりファミリー層や若者層にも受け入れられる店造り、運営をしていくことが必要であろう。
☆2 専門店化志向―素材を生かした独自の味の追及
 その料理を食べたいと思ったとき「あそこに行けば」という、皆から即座に連想されるような店造りがこれに相当するといえる。特徴のない中途半端な店は、今後ますます生き残りが難しくなるといってよいであろう。「健康ブーム」の追い風をうまく利用して健康関連の料理も一部提供したり、高齢者向けの料理を創作するなど、何かしらの売り物を主張した、個性のある店造りに取り組むことが必要である。 「家計調査年報」で見ると、和食(外食)への支出の中心を占めているのは50歳以上である。恐らくは、高齢者が固定客化している料理店が多いと思われるが、これらの固定客は加齢により足が遠のく。生活衛生関係のいくつかの業種では、「生活衛生関係営業の景気動向」の業績悪化の理由に、固定客が高齢化したことにより、来店客が減少した事例が、毎四半期ごとの報告に書き込まれている。中長期的な視点から、新たな固定客作りに取り組むことは、重要な課題である。

【トピックス】

・受動喫煙防止措置とは何か
  健康増進法が平成15年5月1日に施行され、それに伴い集客施設などの管理者は受動喫煙(他人のたばこの煙を吸和させられること)の防止が義務付けられている。健康増進法第25条の対象となる施設は「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店、その他多数の者が利用する施設を管理するものは、これらを利用する者について、受動禁煙を防止するために必要な措置を講じなければならない」と定めている。この法律の施行により、ほとんどの生活衛生関係営業者は、受動喫煙防止措置を講ずる必要性が生じている。
・受動喫煙とは何か
  健康増進法によると、受動喫煙とは「室内またはこれに順ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること」と定義している。他人のたばこの煙は「副流煙」といわれ、喫煙者が吸う「主流煙」に比べ、有害物質が何倍もの濃度で含まれていることが報告されており、非喫煙者が副流煙を吸わされることは、さまざまな病気を発症させる一つの要因となっている。特に発ガン物質ジメチルニトロソアミンが副流煙には多量 に含まれている。そこで、非喫煙者を副流煙から守るため受動喫煙防止措置を講ずる必要があるわけである。
受動喫煙防止措置の具体的方法
  受動喫煙防止措置には、大別して@施設内を全面 禁煙にする方法、A施設内を分煙する方法とがある。
@ 全面禁煙
  受動喫煙防止対策の上では、最も望ましい方法である。灰皿の処理コスト、壁紙・エアコンのフィルターの汚れの清掃など費用が不要でコスト削減になる。また、宴会場の畳や床、テーブルクロスなどの焼け焦げの防止につながる。特に、妊婦や幼児、子供連れの顧客に安心感を与え、安心して飲食が出来るなどのメリットがある。
A 完全な分煙
  禁煙エリアにたばこの煙が流れないように、喫煙席(別の部屋)を設置する。特に禁煙エリアや非喫煙者の動線上、例えばトイレに行く通 路、バイキングやフリードリンクコーナー周辺やそこへ行く通路、レジ周辺、禁煙エリアとレジや出入り口との間の通 路などに、たばこの煙が漏れたり、流れたりしないように配慮する必要がある。
・不完全な分煙は違法
 分煙が次のような場合は違法となる。
@ 禁煙エリアが指定されていても、禁煙エリアにたばこの煙が流れてくる場合(喫煙席周囲に間仕切りがないなどによる場合)
A 非喫煙者の動線上にたばこの煙が流れてくる場合
 

 特に注意しなければならないのは空気清浄機や分煙機が設置されていれば、受動喫煙防止対策が実施との誤解である。これらが設置されていても、たばこの煙の中の有害物質は、大半が素通 りしてしまうからである。

北海道庁の「空気もおいしいお店」の推進事業
  喫煙率が男女とも全国平均を上回る北海道では、平成14年度から飲食店に対する受動喫煙防止推進事業として「空気もおいしいお店」の推進事業を始めている。対象は政令都市である札幌市の俗北海道内にある飲食店が対象であり、認証店は平成18年6月末現在で421店に増えている。 飲食店に対する同様の認証制度の取り組みは、全国の地方自治体でも行われ出しており、受動喫煙防止策を飲食店の経営者のみに任せるのではなく、行政の仕組みとして整備することで、小規模飲食店への浸透を促進することを狙いとしている。 資料:国民生活金融公庫「生活衛生だより」No.135 2004年10月
資料

  1. 総務省「事業所・企業統計調査」
  2. 総務省「家計調査年報」
  3. (財)東京都生活衛生営業指導センター「環衛業に係る消費生活調査報告書(平成9年度)」
  4. 金融財政事情「企業審査事典」
  5. 中小企業リサ−チセンタ−「日本の飲食業」
  6. 「生活衛生ハンドブック2005」中央法規
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