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相談事例

相談事例

日頃、生衛業を営む皆様が営業活動の中で、店舗の貸借・売掛金の回収等に関するトラブルなどについて、専門的なご相談に対応するため、弁護士による相談指導を実施しています。
店舗貸借のお悩み相談事例のご紹介です。

相談事例【家賃の見直し請求についてのお悩み】

近隣の相場よりも高めに設定されている現在の家賃を、家主に減額してもらうことはできるのでしょうか。

私は昭和33年から現在の店舗を貸借しています。しかし当初に比べて、今や売り上げが月平均100~150万円も落ち、経営の悪化に苦しんでいる状態です。
現在の家賃の支払いは月額433,400円で、1坪あたり11,000円ですが、近隣の相場を調べたところ、1坪7,000円~8,000円程度ということです。また「3ヵ年ごとの賃料改定に際し、借り主は新賃料の1ヶ月分を家主に改定料として支払うものとする」という特約により、これまで改定料を2回支払ってきました。
景気も今ひとつですし、家主に交渉して、家賃の減額を請求することはできるのでしょうか。

〈弁護士の回答〉

家賃の見直し請求についてのご質問ですが、借家法第7条によれば、従前の賃料が公租公課の増減、土地または建物価格の高低、近隣の賃料に比較して、不相当になった場合は、家賃の改定ができることになっています。

新しい賃料の決定方法には、通常、スライド方式、利回り方式、比準方式、差額配分方式の4つの方式がありますが、これまでの裁判例では、どれか1つの方法によって決めるのではなく、それぞれの要素を加味したうえで決定しているケースが多いようです。
4つの方式の詳細は次のとおりです。

①スライド方式
従来の家賃に変動率を乗じたもので、次の方式で算出します。
(現行賃料-諸経費)×変動率+現在の諸経費
変動率には土地または建物価格の上昇率、近隣の地価の上昇率、地代・家賃指数の上昇率、消費者物価の上昇率などがありますが、裁判例では、消費者物価指数を考慮して算定するケースが多いようです。
また、この場合の諸経費とは、地代相当額、建物の減価償却費及び修繕費ということになります。
②利回り方式
現在の賃料決定時の純賃料利回りを求め、求められた純賃料利回りを現在の敷地及び建物の価格に乗じ、これに必要経費を加えたものです。
③比準方式
近隣または類似地域の賃料と比較して、新しい家賃を決定するものです。
④差額配分方式
敷地及び建物についての新規賃料と実際の実質賃料との差額を家主・借り主の双方に適性に配分し、家主に帰属する部分を実際実質賃料に加算して求めます。この場合、配分率は賃貸借の個々の事情に応じて、2分の1ないし3分の1とされることが多いようです。

以上のことを念頭におき、まずは家主に交渉を持ちかけてみることです。
合意が得られないときは、場合によっては、簡易裁判所に賃料減額の調停を申し立てられてもよいと思います。